2017年08月10日

映画史の1本『或る夜の出来事』世界初のラブ・コメ映画/感想・解説・評価

『或る夜の出来事』(感想・解説 編)



原題 It Happened One Night
製作国 アメリカ
製作年 1934
上映時間 105分
監督 フランク・キャプラ
脚色 ロバート・リスキン
原作 サミュエル・ホプキンス・アダムス

評価:★★★☆  3.5点



この映画は、映画史上初のラブ・コメ、ハリウッドで言うところのロマンチック・コメディーだと断言しちゃいます。
ハリウッドを代表するスター、クラーク・ゲーブルのキャラクターが最も活かされた作品だとも思います。
第7回のアカデミー賞でオスカー史上最多受賞を果たした、ハリウッド黄金期の歴史的作品です。
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『或る夜の出来事』感想



it hap-crsh.jpgこの映画が作られた当時は、アメリカウォール街から端を発した「世界恐慌」による経済不況が世界を覆っていました。
日本やドイツは軍国主義に走り、アメリカはニューディール政策で経済を賦活させる努力をしていた時期でした。

そんな暗い時期に撮られたこの映画は、大衆芸術としての「庶民の夢」を、その恋愛とコメディーのドラマ中に含んでいたようにも思います。

それを象徴するのが、金持ちでワガママな存在=ヒロインのエリーと、庶民で仕事をクビになった主人公=ピーターが描かれることです。
そのピーターは、ワガママ令嬢に振り回されて、苦労を重ねることになります。
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つまりは、金持ち達が自らの利益を貪ったがゆえに引き起こされた「世界恐慌」という苦難のツケを、弱い立場の庶民が払わされることの苦々しさが見え隠れします。

そして結果から見れば、この映画はエリーというワガママ令嬢を、庶民のピーターが屈服させる物語なのだと思えてなりません。

ピーターは庶民の鬱憤を晴らす如く、ワガママなエリーに「お前の親の育て方が悪いから、そんなになったんだ」と怒り、ついには「お尻ペンペン」までします。
【意訳】ピーター:父親に電話したほうが良い。/エリー:どうしたの?弱気になった。/ピーター:いいや、君のためさ。飢え死にしたくないだろう。/エリー:お金全部上げちゃったの?/ピーター:俺じゃなくて、君がやったんだろ。なけなしの10ドル。だから父親に電話したほうが良いと思ってね。/エリー:いやです!ニューヨークに行くと決めたから、もし飢え死にしようとも行くわ。/ピーター:分かったよ。ウェスリー(エリーの夫)は、なんでこんなに女を夢中にさせるんだ?これを持って、丸太の上に立て。(靴をぶつけられて)頼むから遊ばないでくれ。/エリー:ごめんなさい。肩車をされるのはひさしぶりだわ。

ピーター:これは肩車じゃない。/エリー:そうよ。/ピーター:お前おかしいぞ。/エリー:私のパパが間違いなくこうして肩車してくれたのを覚えてる。/ピーター:こんな風に運んだのか?/エリー:そうよ。/ピーター:お前の父親の頭じゃ肩車を分からないんだ。/エリー:私の叔父も、私の母親の兄弟も四人の子供がいて、彼等だってこうして肩車されてたわ。/ピーター:賭けてもいいが、お前達一族はまともに肩車できない。俺は金持ちで肩車できるヤツをまだ知らないね。/エリー:あなたの偏見よ。/ピーター:お前は肩車の名人を俺に見せてくれ。そしたら、俺は本当の人間を見せてやるさ。例えばアブラハム・リンカーンのように。生まれながらの肩車名人だ。お前の高慢な一族から、いつお前は離れられるんだ?/エリー:私のパパは肩車の名人よ。/ピーター:ちょっと、これ持っていてくれ。(叩く)ありがとう。

it hap-ship.jpgこんな金持ち令嬢の憎まれ役だけに、ヒロインのエリーを演じたクローデット・コルベールが、こんな金持ちのイヤな女は演じたくないとゴネたのも分かる気がします・・・・・
やはり悪役ですし。


そんな、こんなで、この映画は公開当時お高くとまった批評家からは酷評されたものの、庶民大衆の絶大な支持を受け、歴史に残る古典作品として今に残ります。

そんな庶民の支持を物語るエピソードを・・・・・・・・・・
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@この映画でシャツの下に下着を着ないスタイルが流行った。

 右のシーンで、主人公ピーターを演じたクラーク・ゲーブルがシャツを脱いで、裸なのがカッコイイと若者を中心に流行ったそうです。


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Aこの映画で大陸横断バスの利用が増えた。


 それまで旅行といえば、飛行機や鉄道が中心だったものが、横断バスの旅がポピュラーになったそうです。

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Bこの映画でヒッチハイクが定着した。

映画史に残る名シーン「ヒッチハイク」。この映画の後、ヒッチハイカーが増加したといいます。


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Cこの映画がバックスバニーを生んだ。

この映画で見られる、敵に追いかけられながら、ニンジンを齧るイメージから、アニメ「バックスバニー」が誕生したという説があります。


ということで、この映画がどれほど人々に愛されたか、大恐慌の苦しい時代に「庶民大衆」に元気を与えたかと想像してみたりしています。
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『或る夜の出来事』解説

クラーク・ゲーブルとクローデット・コルベール



この映画の撮影時34歳だったクラーク・ゲーブルは、この映画で人気を不動のものにし、アカデミー主演男優賞を獲得しています。
クラーク・ゲーブルの魅力は、乱暴にすら見える言動に象徴される、男性的なセックス・アピールに当時の女性たちは虜になったといいます。
クラーク・ゲーブル(Clark Gable, 1901年2月1日 - 1960年11月16日)は、アメリカ合衆国の映画俳優。第二次世界大戦前後の時代を代表するビッグスター。

大手映画製作会社のメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の幹部の目にとまり、1930年に契約し翌年から多くの映画に出演、「キング・オブ・ハリウッド」の異名をもつ大スターとなる。(wikipediaより)

そして、ヒロインのクローデット・コルベールは、ラブ・コメの女王として人気を博し、本作でアカデミー主演女優賞を得ています。
クローデット・コルベール(Claudette Colbert, 本名:エミリー・ショーショワン(ニックネームはリリー)、1903年9月13日 - 1996年7月30日)はフランス生まれのアメリカ合衆国の女優。


1930年代、40年代にスクリューボール・コメディで人気を博したコメディエンヌ。1936年には年収30万ドルを稼ぎ、アメリカで最も高収入の女優の一人となった。

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『或る夜の出来事』評価


この映画は、映画史に残る古典であり、ロマンチック・コメディーの元祖と言って良いと思うのですが、個人的な評価は、映画としての魅力は★3というところかと・・・・・・
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それに歴史的評価を+☆0.5とさせて頂きました。

実を言えば、現代の映画に慣れた目から見ると、すこ〜し映画のテンポがノロイかと思います。
また、エピソードも冗長な所があったり、ラストに至るまでの過程も、もう少し整理できたように思います。
これは1936年という時代に生まれて、初めてこの映画を見ていれば、斬新で、軽快なテンポに感じられたと思うのですが・・・・・・・・

アナウンサーの喋る一分間の文字数が、現在では400字を超えているのに対し、30年前では300文字程度だったといいます。
ましてや、この映画の一世紀を過ぎようかという時間経過を考えれば、テンポの遅さは致し方ないかとも思います。
更に付け加えれば、この映画はサイレントとトーキーの過渡期という事もあり、名匠フランク・キャプラ監督と言えども、長回しや、カット割りなど、サイレント時代の撮影法がまだ尾を引いているようにも感じられます。


また、現代の視点で見ると残念なのが、ワガママな大金持ちの娘というヒロインの設定が、そこまでワガママに感じられないという点です。
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これもたぶん、当時の「お淑やかな女性」に比べれば、クローデット・コルベールが演じるのを嫌がった事で分かるように、こんなヒドイ女は有り得ないというキャラクターだったのかとも思います。

しかし、今となっては、もっと、ずっ〜〜〜〜とワガママな女性が巷に溢れているだけに、そんなヒドイ娘に見えないという・・・・・・・・
そんなことで、悪役として見れば、現代の眼では弱く感じます。

また、今の目線で見れば、クラーク・ゲーブル演じるヒーローも、いかにワガママな高慢娘とはいえお尻をひっぱたいたり、大声で罵ったりするのは、ちょっと乱暴で抵抗があります。
しかし、これも当時の男は、この位強くなければいけなかったのでしょう。

そう思えば、女性達が強くなったことと、男たちが軟弱になったことで、現代の物語として見れば、対立構造が弱く、ドラマの力学が十分発揮されないように感じてしまうという事でした。


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それは、現代の眼から見れば、バスの中だろうと、公衆のまっただ中だろうと、平気で煙草を吸い続けているこの映画を、嫌煙権をカサに非難し断罪するようなものなのですが・・・・・・・・・


残念ながら努力をしてみましたが、当時の価値観でこの映画の真価を十分評価することができず、私にとってはこの評価となりました・・・・・・・悪しからずご了承ください。

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posted by ヒラヒ・S at 19:19| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月07日

映画『或る夜の出来事』1934年製作ラブ・コメディーの古典/詳しいストーリー・あらすじ・出演者

『或る夜の出来事』(ストーリー・あらすじ編)



原題 It Happened One Night
製作国 アメリカ
製作年 1934
上映時間 105分
監督 フランク・キャプラ
脚色 ロバート・リスキン
原作 サミュエル・ホプキンス・アダムス

評価:★★★☆  3.5点



この映画は、映画史上初のラブ・コメ、ハリウッドで言うところのロマンチック・コメディーだと断言しちゃいます。
ハリウッドを代表するスター、クラーク・ゲーブルのキャラクターが最も活かされた作品だとも思います。
第7回のアカデミー賞でオスカー史上最多受賞を果たした、ハリウッド黄金期の歴史的古典作品です。
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『或る夜の出来事』あらすじ



マイアミ港に係留された豪華ヨットの上では、銀行家の大富豪アンドルース(ウォルター・コノリー)が、一人娘エリー(クローデット・コルベール)に困り果てていた。
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エリーは父の承諾を得ずに飛行家キング・ウェストリー(ジェームスン・トーマス)と結婚をしたため、船に監禁し説得をしていた。
しかしエリーは、頑として受け付けずハン・ストさえ始めたのだ。
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ついには、娘はヨットから海に飛び込み、逃亡してしまった。

エリーは追跡者を避けるため、庶民が旅行に使う長距離バスに乗った。
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そのバス発着所には、本社とケンカしクビを言い渡された新聞記者ピーター・ウォーン(クラーク・ゲーブル)がいた。

ピーターとエリーはニューヨーク行きのバスに乗り、隣り合わせに座ることになったが、お互い好感を持てずギクシャクしていた。
そのバスが休憩で停車した時、エリーはトランクを盗まれてしまい、持っているのは切符と4ドルを残すのみとなった。
ピーターは親切心でいろいろアドバイスをするが、エリーは騒いで見つかることを恐れ、私に関わらないでと彼に言い怒らせた。
バスは夜を通して走り続け、早朝ジャクソンビルに到着し30分の休憩になった。
お嬢さん育ちでワガママのエリーは、私が戻るまで待っていてとドライバーに言って、50分後に戻ってきた時にはバスは出発した後で、次の便は夜8時だと言われ途方にくれる。
そんなエリーに、ピーターが声をかけた。
彼はエリーがバスの切符を座席に忘れてるのに気付き、渡そうと待っていたのだった。
そしてピーターは、エリーの父アンドルースが、1万ドルの懸賞金をかけ娘の行方を捜索させていると教えた。
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ピーターはプレイボーイの飛行家キング・ウェストリーは最低の女タラシだと言い、父の元に帰れと薦めるが、エリーは拒否した。
そして去ろうとしたピーターに、エリーは「1万ドルを私があげるから父に連絡するな」と言った。
それを聞いてピーターは怒り、「甘やかされて何でも金で買いたがる。人間性のかけらもない。」とエリーに怒鳴った。

しかし、そう言いながら、ピーターは自分をクビにした編集長宛に電報を打ち、エリー発見のスクープ記事があると連絡した・・・・・・・・・

その、夜に出発する大陸間バスには、エリーとピーターの姿があった。
しかし、大雨で道路が塞がれバスが立ち往生し、ピーターは金のないエリーのために夫婦と偽って近くのモーテルに一部屋借りた。
しかしエリーは同じ部屋で寝ることに文句を言うと、ピーターは下心は無い、ただ記事を書かせてほしいと言い、もし断るなら父親に連絡すると脅した。
エリーは外の大雨を見てついに諦めて、同じ部屋に泊まる事になった。
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ピーターは、部屋にロープを張りシーツで目隠しをし、ジェリコの壁だと言った。(聖書に出てくる絶対崩れない壁。ただし最後にはトランペットの音で崩れたという)

翌朝、朝ごはんを作り服にアイロンをかけてくれたピーターに、エリーは素直に感謝を覚えた。
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そんな所に父の追っ手の探偵が探しに来たが、ケンカ中の夫婦を装って誤魔化した。

見つからない娘に焦燥を募らせる父は、更に新聞・ラジオで大々的に告知し、ついにバスの乗客の一人が気付く。
ピーターは、ギャングのふりをしてその男を追い払ったが、バスで旅することは危険だと知り、エリーと共にバスを降りた。
しかし、手持ちの金を使い果たした二人は、干草をベッドに野宿した。
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そんな二人は、共に行動するうちに反発しつつも、惹かれあうようになる。
翌朝、ピーターは畑から抜いたニンジンを生のままかじり、エリーにも薦めたがエリーはイヤだと食べなかった。
二人は、車をヒッチハイクしてニューヨークを目指した。


しかし、乗せてくれたドライバーは、親切なふりをした泥棒だった。
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ピーターはドライバーを倒し、逆に車を奪いニューヨークにエリーと向かった。

その頃、娘を心配した父親は結婚を認める決心をし、飛行家キング・ウェストリーと和解し、それを新聞でも報じた。
エリーはその新聞を見たが、ニューヨークまで3時間の所で泊まると言って、ピーターを困惑させた。
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その晩モーテルの一室で、ジェリコの壁を挟みながらエリーとピーターは、恋について語った・・・・・・・

ピーターは愛する女性を太平洋の島に連れて行きたいと語る。

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するとエリーはジェリコの壁を越え、私をそこに連れて行って、あなたを愛しているとピーターに訴えた。

しかし、ピーターは抱きつくエリーに「ベッドに戻れ」と言った。

しかし、涙ながらに寝入ってしまったエリーの顔を見ながら、ピーターはある決心をしていた・・・・・・・

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『或る夜の出来事』予告

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『或る夜の出来事』出演者

クラーク・ゲーブル(ピーター・ウォーン)/クローデット・コルベール(エリー)/ウォルター・コノリー(アンドリュース)/ロスコー・カーンズ(シェプリー)/ジェムソン・トーマス(ウェストリー)
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posted by ヒラヒ・S at 17:32| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

『リリイ・シュシュのすべて』岩井俊二監督の中二病レクイエム/ネタバレ・ラスト・結末感想

『リリイ・シュシュのすべて』(ネタバレ・ラスト 編)



英語題 all about lily chou chou
製作国 日本
製作年 2001
上映時間 146分
監督 岩井俊二
脚本 岩井俊二
音楽 小林武史

評価:★★★★  4.0点



岩井俊二監督作品の映像美と叙情性が、透明な光となって全編を覆い、一種宗教的な荘厳さを生んでいると感じる。
あたかも、この映画の陰惨な、悲劇的なドラマを救うためにために垂らされた、天上からの一条の糸のように。

14歳の市原隼人が映画初出演で演じ、蒼井優も当時15才で私物の携帯を作中で使うなどして、作品世界にリアリティーを与えている。
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『リリイ・シュシュのすべて』予告

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以降の文章には

『リリイ・シュシュのすべて』ネタバレ

を含みますので、ご注意下さい。
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(あらすじから)
lili-enko2.png星野修介から援助交際を強いられている津田詩織は、監視役として共に行動する雄一と遠慮なく話せる中になっていた。
雄一は、詩織がクラスの男子の告白を断ったのを知って、「あいつなら星野から守ってくれるのに」と言うが、詩織は自分を卑下し取り合わない。

そして、星野達に暴行を受けた、雄一が思いを寄せる久野について、詩織は「久野さんは強いから大丈夫」だと語った。lili-skin.jpg
暴行を受けてから久野は、学校を休んでいたが、ある日、頭を丸刈りにした久野陽子が登校した。


クラスメイト達はそんな彼女を、茫然と見つめるのだった。

そんな中、リリイの掲示板『リリフィリア』では「雄一=フィリア」が救いを求め叫び、それに「青猫」が呼応し、両者は互いに共感し深く強く結びついていった。

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しかし、冬の夕暮れ津田詩織が投身自殺した。


雄一は授業中に嘔吐し、運ばれた保健室で「耳の中の音がうるさい」と呟いた。


そんな時、リリイ・シュシュのライブが開催され、雄一もライブへ向かった。
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そこで雄一は予期せず星野と出会い、チケットを奪われ、コンサートを見れなくなった。
そんな星野は青林檎を持っていた。
掲示板『リリフィリア』で青林檎は青猫がライブ会場で目印に持って行くと言っていたものだった。

青猫は星野だったのだ。
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雄一は星野にチケットを取られ、リリイのライブ会場の外で立ち尽くしていた。
ライブが終わって星野が出て来て「まだいたのか」と雄一を嘲笑し、立ち去ろうとした。
その時、雄一は大声で「リリイがいた」と叫ぶ。
群衆はリリイを求めて混乱し、押し合いへし合いのすえ、怒号が飛び交った。
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雄一はそんな中、星野の背後に回り、ナイフで彼の背中から刺し殺した。

ネット上では「誰がエーテルをよごしたのか」「騒動のせいでリリイには、不吉な女というレッテルが貼られてしまった。」「犯人はまだ捕まっていない。」と文字が明滅した。


時は流れ、雄一中学3年の春。
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彼は陽だまりの中ピアノを弾き、母親に頼んで髪を茶に染めてもらった。
学校では担任教師による的外れな学習指導が有る。

音楽室では、久野陽子が弾くピアノの音が、静かに響いていた。
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『リリイ・シュシュのすべて』ラストシーン

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『リリイ・シュシュのすべて』結末感想



この映画は、14歳を生き延びて、15歳になる2人の姿でエンディングを迎える。
エンディングの前には、担任教師による面談シーンで、彼ら14歳の事情を何も知らない大人達の無知が露呈している。
この主人公の少年は、事件をどう思っているのかと想像してみる。
多分後悔はないだろう。lili-pos3.jpg
なぜなら、彼が殺したのは、自分自身だった。
反抗を禁じられ、仮想空間に裏切られ、救世主リリイ・シュシュも幻想だと知った14歳は、自らの「14歳という現実=リアル」に現実世界で向き合い、自らの過去を葬ったのだ。

この自分自身との対峙とは、この映画の14歳達が共通して持つ戦いだった。

よくよく見てみれば、投身自殺した津田詩織は、現実世界をより良く生きるチャンス(男子生徒の告白)を放棄した。
また、いじめの首謀者星野にしても、自らを現実世界に置くことの忌避が、いじめという一種の自傷行為を生んだように感じる。
そう思えば、津田詩織にしても、星野にしても現実世界にいる事を拒否し、自らを現世から消したかったのだろう。

それに対し、雄一はギリギリの所で、現実世界にその身を留めるため、現実と戦う気力が残っていた。
久野にしても、その命をつなぎとめたのは現実に対して、自らスキンヘッドにするという反撃を見せたからだ。
つまりは14歳同士の、共食いは「現実世界により関与」した者が生き残ったのだ。
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再度問いたいのだが、こんな14歳同士がお互いを傷付け合うような事態に、誰がしたのか。
この映画の14歳達は、仮想世界や、幻想世界では、最早救い得ない。
この少年少女達を救う責任は、間違いなく大人にあると信じる。
しかし、今となってはこの国の、脆弱な大人達は彼らを救い得ないのではないかと、自嘲と共に思う。

もはや希望は、この14歳の地獄を生き延びた少年少女達が成長し、この現実世界に関与し変革せしめること以外に、救われる道はないかもしれない。
あたかも久野が、醜い現実世界を自らの清澄なピアノで浄化する、この映画のラストのごとく・・・・・・

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『リリイ・シュシュのすべて』サントラ集


飛べない翼

飽和

ドビュッシー、アラベスク1番



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posted by ヒラヒ・S at 17:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする