2014年08月10日

映画『ショコラ』アメリカ産ヨーロッパ風味/ネタバレなし・あらすじ・感想・解説

ヨーロッパを舞台にしたアメリカンストーリー



評価:★★★☆ 3.5

ラッセ・ハルストレム監督は、私にとってスリリングな作家です。「当たり」か「ハズレ」か新作を見るときに、いつもドキドキしちゃいます。

さぁ〜この映画はどうでしょう?
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『ショコラ』あらすじ


フランスの小さな村に、母ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と娘アヌーク(ヴィクトワール・ティヴィソル)がやって来た。その村は、レノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)という実力者がおり、禁欲的で因習に則って暮らしていた。そんな村に、二人は掟に縛られない、新たな息吹をもたらした。最初は警戒し戸惑っていた村の人々も、チョコレートのおいしさに魅了され、効用に驚き、ついに心を開き村人の心が変化をしていく。そして、夫の暴力から逃げてきたジョゼフィーヌ(レナ・オリン)のようにヴィアンヌ母娘によって救済されるものも出てきた。そんな時、川を船で旅するジプシーの一団が村に逗留した。ヴィアンヌは、ジプシーのリーダー、ルー(ジョニー・デップ)に心を惹かれ、恋に落ちる。しかし村人たちは、ジプシー達に忌避感を持っており、ヴィアンヌに対する風当たりも強くなっていった。やがて老女アルマンド(ジュディ・デンチ)の誕生パーティーの最中、事件が起きる・・・・・・



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『ショコラ』感想・解説



フランスの片田舎から始まるこの映画、スェーデン出身の監督だけあってヨーロッパの光を美しく捉えています。舞台となる村は、宗教的な規律を守って暮らしています。そこに流れ着いた母と子がチョコレート店を開きます。この母子と村人の、葛藤と融和がドラマとして語られます。

 静かで穏やかな村の時間を、チョコレートをかき回すようにユックリ、少しずつ動かしていって、ついには村の在りようを変えます。チョコレートにそんな魔力がある事を、食べる人の表情だけで伝える説得力がすばらしい。

また、主人公の恋人役、川の民(川のジプシー?)をジョニー・ディップが演じてるんですが、スッピンですけどカッコいい。
ギターがこんなにうまい人だったんですネ。
ジョニー・ディップ、ギターシーン

出演者は、ジュディ・デンチを始めキャスティングといい、演技といいホント完ぺきだと思います。
こんな、長所をひっくるめて+☆3.5です。

ですが・・・・・・ゴメンなさい・・・−☆1.5分の・・・・ツッコミです。
正直この映画に乗れませんでした。その理由は脚本(脚色?)に尽きるように思います・・・・・・・・・・

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この物語は、日常に飛び込んできたトリックスター=いたずら者の話だと思ったんです。

この形「安定社会とそれを引っかき回すトリックスター」は、世界中にいろいろなバリエーションで語られています。
それはこの物語構造の中に、強い権力者=王の存在によって維持された安定社会は崩壊に向かっていて、それを食い止めるには、命を賭けて王を諌める道化師=トリックスターの存在なしには有り得ないという、本質的な知見が含まれているゆえだと思うのです。

さらに抽象化して考えれば、安定したものが滅ぶことによって次の生命が生みだされるという、死と生を巡る、不変の真理こそトリックスターの物語なのだと考えたりします。
なるほど、この映画でも安定社会を、北風とともにやってきた母娘のトリックスターが掻きまわして、その村の秩序を崩壊させます。

しかし、ここからが問題なのですが、物語の構造からいえば、旧来の王が死ぬか、トリックスターが死ぬ(消滅する=去る)事が必要にも関わらず、この映画の中では明示的にも暗喩的にも死は描かれません。

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死の引力が強ければ強いほど、古い体制の崩壊が激しければ激しいほど、新たな命、新たな秩序が、より強固に生まれ変われるにもかかわらずです・・・

それゆえこの映画は残念な事に、物語としての強さ、カタルシスの力が弱くなり、感動に至らなかったと思うのです・・・・って、私はそうカンジたってことですが・・・・・・
まぁ、あんまり感動が無かった人向けにこの文章をお送りしていますが・・・・・・

いい雰囲気だっただけに惜しいなぁです。
この物語原型からの逸脱は、アメリカ社会が好む明快な正邪の構図(母娘=正義、村の村長=悪)ゆえに、本来死ぬべきトリックスターであっても、正義を成した者を死なすのはオカシイというような「フェア=公正」精神ゆえの結果だと考えたりします・・・・・

そして実は、この正義に則った物語構造を最も顕著に示したのが「ディズニー」のおとぎ話シリーズだと思ったりします。

しかし、その明快な正義を語るのには「ヨーロッパの光」は弱く、曖昧に過ぎると思うのでした・・・

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関連レビュー:ジョニー・ディップ主演映画
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若き日のディカプリオ出演

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posted by ヒラヒ・S at 20:59| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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