2014年09月06日

冬のライオン

映画と演劇力



評価: ★★★  3.0

この映画に関しては、舞台劇としての迫力を十二分に堪能しました。
まるで、シェークスピアが現代に蘇ったような、重厚な脚本を元に、名優の誉れも高いピーター・オトゥールとキャサリン・ヘップバーンがガップリ四つで組み合います。

この映画の主人公ヘンリー4世は、中世ヨーロッパでイギリスとフランスに王国を築き上げますが、晩年誰に王権を授与するかという所が物語の背景です。
さらに、物語を複雑にするのが、ヘンリー4世の妻と愛人であり、この二人は共に領地の継承権を保持しているお姫様です。
そこに、3人の息子=世継ぎ候補と、フランス王が絡むというシッチャカメッチャかのお話です。

で、こんな筋立てを聞いたら、さぞや激しい、大規模な、華麗な立ち回りがあって、さらにセクシーで濃厚なラブシーンが・・・・・なんて、平成の今を生きる、刺激になれた視聴者の一人である私としては、期待するわけです。

そんなフラチな望みは、スッパリあきらめましょう。

この映画は、そんな低俗な刺激を与える為には存在していません。
この映画は出演者達の力演により、葛藤、欲望、愛、権力、絶望、希望、そして家族の愛憎入り乱れた感情を汲み出して、圧倒的迫力に満ちています。
そして、この迫力はこの役者達の演技力によってしか、表現し得ないに違いありません。
また、その演出も、役者の演技を極力ジャマしないように、たとえばロングで全身が移るようにしたりと配慮しているのが見受けられます。
役者として、演技を勉強しようなんて人には必見ではないでしょうか。

と言っといて・・・・なんですが。

実は、私は☆3の評価なんです。

というのも、この映画のもつ力は映画的では無いように感じられたのです。
ちょっと上手く言えないのですが、この演技に依る表現を尊重した撮影方法をすれば、それは映画と言うよりも舞台劇に近くなると思うのです。

そういう意味で、この映画は偉大な演技者の舞台記録として、素晴らしいとは思うものの、映画としての感動を見いだせなかったのです。
この感想は、ミュージカルにしても舞台劇の映画化にしても、オリジナルに忠実であればあるほど、同様の印象を持たざるを得ません。

逆に、思い出すのは、小津安二郎やアルフレッド・ヒッチコック監督です。
この巨匠達は、映画はモンタージュ=「画と画の組み合わせで」語るものだと考えていたようで、役者が演技することよりも、画としてツナギやすい姿が出ていればそれでいいと割り切っていたのではないかと想像します。

ヒッチコック・ビユーティーや笠智衆を見ると、そう思います。

どちらがより映画的かは、言うまでもないでしょう。

役者の演技は舞台でこそ堪能できるもので、映画的には大根役者であっても、スターとしての輝きこそ求められるのではないでしょうか・・・・

ということでこの映画の☆スターが流れてしまいました。


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posted by ヒラヒ・S at 22:09| Comment(0) | イギリス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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