2015年06月21日

『昼下がりの情事』オードリー・ヘップバーンのよろめき/あらすじ・感想・解説

情事の生まれた事情



評価:★★★    3.0点

この扇情的なタイトルにドキドキします。

もちろん主演女優がオードリー・ヘップバーンで、監督がビリー・ワイルダーですから、実際に不埒なシーンが出てくるわけでは有りません。
ご安心下さいなのか、ご落胆なさいますな、なのかよく分かりませんが。

『麗しのサブリナ』では、ビリー・ワイルダー監督の都会的な味と、オードリーの瑞々しい姿のマッチングで、ロマンチック・コメディーのお手本のような一本でした。
そこでこの『昼下がりの情事』も期待をして、鑑賞したのですが・・・・・

<『昼下がりの情事』あらすじ>


アメリカの大富豪でプレーボーイ(ゲーリー・クーパー)がパリに来たとき、浮気の調査を依頼された探偵から始まります。
その探偵の娘がオードーリーで、父親の仕事の書類を盗み見て、その大富豪に興味を持ちます。
そんなおり、浮気がばれて危機に陥った大富豪を心配したオードーリーは、彼の泊まるホテルに行き助けてあげるのでした。
大富豪はこれ幸いとばかり、オードーリーを次の遊び相手に選んで、オードリーはプレーボーイの術中にまんまとハマってしまい、すっかり夢中になります。
そんな恋の中にいる彼女を残して、あっさりと大富豪はアメリカに帰ってしまいます。
しかし、数ヵ月後再び大富豪と会ったオードーリーは、彼の気を引くため恋の駆け引きの嘘をつき、今度は彼の方が夢中になります。
しかしそんな娘を危ぶんだ探偵の父親が、大富豪に真実を告げた時、オードリーの恋はどうなるか・・・・・



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この映画の二人が、パリのホテルで落ち合うデート時間が「午後=昼下がり」で、そこで起こる「ラブ・アフェア=情事」というわけです。
オードリーの美しさパリのオシャレなムード切ない恋物語を美しいテーマ曲「魅惑のワルツ」が盛り上げます。

しかし、冒頭の繰り返しですが、英語の「Love in the afeternoon = 午後の愛」と較べると「昼下がりの情事」というタイトルは、ズイブン扇情的でミダラな雰囲気を、醸し出していませんでしょうか?

これは私の勝手な想像ですが、日本の関係者はこの映画を見て、「どうも期待していた映画と違うぞ、どうしよう、このままじゃ大コケしそうだぞ、なんとかしなきゃ!?ええい、このさいタイトルだけでもキワドくしよう!」てなことじゃないかと・・・・・・・

それほど実際の映画と題名のギャップが激しいもので・・・・・・・・

見て頂ければわかるかと思いますが、本当にシンプルなラブ・ストーリーで、ビリーワイルダーお得意の「都会的なラブ・コメ」というにも物足りない気がします。
そこで、この映画でなぜオードリーが魅力的に写らないのか、その理由を挙げてみたいと思います。

まずは、ヒロインのオードリーが輝くばかりの美しさなのに対し、ヒーローのゲーリー・クーパーが、あんまりすぎる。
ど〜みてもオジイチャンにしか見えず、プレーボーイとしてのムードがこれっぽっちも感じられない・・・・
誤解して欲しくないのですが、オジイチャンがダメというわけじゃないんです。
実際ここでのゲーリークーパーは56歳ではありますが、「麗しのサブリナ」のハンフリーボガードも55歳、ローマの休日の相手役、グレゴリーペックだって若いとはいえ37歳でした。

10代や20代の若者がキャーキャー言われている、今からは想像しがたいのですが・・・・・つまり1950年代ごろまでは、女性達の幸せな結婚相手・理想の相手というのは、年配のリッチなオジサマ方だったのです。
逆に若い男の子達は、少しでも老けて見えるように、一生懸命努力したりしてのです。


結局、これは時代背景として、まだまだ社会全体が貧しいが故に、恋愛の理想的相手は経済的余裕のある、年配者にならざるをえないという話もあります。

そんな時代の映画だと思えば、このゲーリー・クーパーの年齢が問題でない事は明らかです。
むしろ問題はゲーリー・クーパーが、女性を虜にするオーラを発していない点にあります。
もちろん、ゲーリー・クーパーはハリウッドを代表する大スターで、若いころは二枚目として恋愛映画も立派に努めてはいましたが・・・・・・・
この映画の時点では、西部劇の主役が似合う武闘派で、ロマンスの香りがしないのがツライ・・・・・
男性的魅力が感じられなければ、オードーリーがこんなに夢中になっているのは、お金の為という結論になってしまうでしょう。

このミスキャストはビリー・ワイルダーにとって痛恨の失敗ではなかったでしょうか。

さらに上を踏まえて、オードーリーがお金の為にオジーチャンと恋に落ちるというシチュエーションは、オードリーファンにとっては、絶対許せない事態だったでしょう。

なぜなら『ローマの休日』の彼女が表わしていたものは、社会に勇気を持って進出する「自立した女性」の姿だったのですから。

そんな、1950年代の新しい女性像を期待したファンを、これは落胆させる映画ではないでしょうか。
ビリー・ワイルダーにすれば、「麗しのサブリナ」だって、同じシチュエーションじゃないかというかもしれません。

でも、決定的に違うのは「麗しのサブリナ」は、男が女を追っかけるのです。

つまり男達のほうがオードーリーに夢中になっている構図は、「ローマの休日」の男を頼らない「自立した女性」のイメージを裏切らないモノです。

この映画は逆に、男にスガる女を描いていしまいました。
時代は、自立した女性と若い男性の恋愛を描けるほど、豊になってきたというのに・・・・
結局時代に逆行する映画だったと、言わざるを得ません。

ビリーワイルダーともあろう人が、二つもミスをしてしまいました。

じつは、ビリーワイルダーという監督に対し、女性蔑視の傾向があるのではないかと、密かに疑ってきました。
この言い方が悪ければ、男目線で男にとって都合のよい女性を登場させると、映画として面白くなる傾向があるといいましょうか・・・・・・個人的に見せ方や、テンポ、シャレたセンスは大好きなんですが・・・・・女性受けする女性を描くのは不得手ではないでしょうか?

しかし、ここまで書いてきてなんですが、この映画に対する私の悪印象が「個人的なモノ」かもしれないと、気がついてしまいました。
実際は、私だけがこんな風にこの映画を楽しめていないとしたら、他の人達はこの映画を素晴らしいと思っているとしたら・・・・・・それは、私に変な期待を持たせ、ダマした『昼下がりの情事』というタイトルが悪いと思うのです。

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当ブログレビュー:オードリー・ヘップバーン作品集


『ローマの休日』
オードリーデビュー作
ロマンチックコメディーの不朽の名作
『麗しのサブリナ』
オードリーの第二作目
名曲「バラ色の人生」に彩られた恋
『ティファニーで朝食を』
都会のおとぎ話
妖精オードリーの代表作
『いつも二人で』
オードリーの結婚倦怠期
運命の恋の行方
『許されざる者』
オードーリーの西部劇
バート・ランカスター主演、 ジョン・ヒューストン監督


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posted by ヒラヒ・S at 23:59| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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