2016年03月19日

私をスキーに連れてって

ブームは絶好調、映画は低調



評価:★★★   3.0点

え〜っと、タイトルどおりです。

ヤッパリ映画としては、お金もかかってなさそうだし、ストーリーはマンネリだし、予定調和の結末だし、画面のそこここに隙間があるし、原田知世ちゃんの魅力だって十分引き出しているわけじゃないと感じます。

もうちょっと詳しく言えば、三上博史演じる主人公のキャラクターはスポーツは得意でも女の子は苦手という「硬派」で、原田知世演じるヒロインは一歩引いて男を立てるような「良妻賢母」型です。
今考えれば硬派も良妻賢母も死後に近いですが・・・・その当時は、このタイプが理想形とされていました、で、そのままナンのひねりもなく描かれています。
ということで、キャラクターの設定がプロトタイプ過ぎるという気がします。

また、ストーリーのクライマックスは、先輩のスキーブランドの発表会のため危険を省みず、発表会場に向かうというものですが、これも良くある熱血パターンの筋立てに見えます。
更に言えば、映画全体の中でこのシーンが長すぎるため、おしゃれなスキー映画として見ていたら、なにやら汗臭くなってきてしまい、最後にはスポーツで勝利したようなヘンな後味となってしまいました。

けっきょく、映画が語るイメージははスキー場のおしゃれな恋物語だったはずなのに、特に後半は熱血スキー物語になってしまい、映画として混乱したように思います。
そういう意味では、製作者側がどういう映画にしたいという、完成形が不明瞭だったということだったのでしょうか?
または、出来上がりのゴールは見えていたのに、その通りに出来上がらなかったのか・・・・・イロイロ考えられるとは思いますが、いずれにしても映画のテーマと物語のマッチングが十分では無い様に感じました。

まぁ〜とはいうものの、そんな技術的にイカガナモノカという点があるにせよ、私はこの映画を高く評価したいと思います。
この映画は間違いなく、バブル時代の若者達に一つのライフスタイルを供給し、たいへんなレジャーブームを巻き起こしたのですから。

ユーミンの歌と、週末のスキー。
この映画のおかげで、リフトに乗るのに何時間も待つなんて、ヒドイことになってしまったのです。
クリスマスは彼氏と、スキー場のホテルに行くなんて話しをよく聞いたものです。

そんなこの映画の観客層10代後半から30代前半に向けて、確実に彼らが求めているレジャーをプレゼンテーションした、マーケット力に敬意を表しての評価です。

たとえば「ハスラー」のビリヤードや「サターデーナイトフィーバー」のディスコ、最近で言えば「ケイオン」のガールズバンドブームのように、何か楽しい事を求めている若者達の心に訴えかけるコンテンツを持った映画は、商業的な成功を手に入れられるという証明だったでしょう。

そんな若く感受性イッパイの時に見た映画は「永遠の命」を持つものだったりしないでしょうか。
この映画は、劇としての力を十分に持ち得なくても、人々の憧れを描きえるという稀有な例とも思えるのです。
その実態以上に過大にイメージされた世界とは、けっきょく表現物を見た鑑賞者の中で結ばれた、心の中の理想像で在るように思います。

こんな対象と鑑賞者の間に結ばれた、現実を超越した絶対的な価値を持つものを「アイドル」と呼びはしないでしょうか・・・・
つまりは映画の伝える実体以上に、観客の心の中に「輝ける偶像=アイドル」を結ぶことに成功した作品だと感じました。
そういう意味では、この映画は「アイドル映画」としての力を、明らかに持っているように思います。

しかし実力を十分に持たない「アイドル」が、「旬」を越え輝く時期を過ぎると急激にその力を減じるように、映画もまたシッカリした内容を持ってないと「時代」を越える事ができないのではないでしょうか。

もっとも、見た人々にな〜んも残せない映画が山ほどあることを考えれば、ある世代の心に永遠の輝きを与えただけでも成功かもしれません。

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posted by ヒラヒ・S at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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