2016年05月30日

三谷幸喜「ステキな金縛り」

映画の金縛り




評価:★★★

検事「この映画は明らかに有罪です。」

弁護人「裁判長異議あり!!」

裁判長「弁護人、途中です、発言は慎むように」

検事「ゴホン!私は、映画の本質とは[主題=テーマ]を伝え、ひいては、そのテーマによりどれほど[映画的感動]を与えたかで、判断すべきだと考えます。しかるに、この映画。残念ながらテーマは不明確、ストーリーは寸断、結果観客に混迷をもたらした。その事実からみて、有罪は疑問の無しと考えます。」

裁判長「弁護人、反対弁論をド〜ゾ」

弁護人「私は無罪を主張します。こんなに笑えて楽しめる映画が、今の日本にどれほどあるでしょうか?映画で大事な事は、観客が楽しめて、見終わった後どれほど満足感があったかだと考えれば、この映画に罪がない事は明らかです。」

裁判長「原告、主張を裏付ける、証拠を提示下さい」

検事「まずは、映画中の混乱がヒドイという事実を挙げたい。あまりに語られる内容が多すぎる。本来、殺人事件の[法廷劇]が、[幽霊=更科六兵衛]が出ることによって、[霊界]の実在を巡る映画に切り替わり、更に殺人事件の犯人探しに戻り、次に主人公の[肉親の情]まで語られるとあっては、あまりにも詰め込みすぎる。」

弁護人「・・・・・」
検事「結果、殺人や、霊界、真実、正義、家族愛と視点と語られる内容が切り替わり、結果的にテーマが不明確になり、[映画]の混乱が生じたのです。」

弁護人「デ・でも、いろいろいっぱい入ってるから、笑えて、面白いんじゃないですか?三谷監督はいっぱいサービスしてくれるんです。いけないんですか!?」

検事「テーマが希薄な内容の上に立った笑いは、空虚だ!テーマを明確にしてこそ深い笑いを作れるのだ!」

弁護人「・・・・・・・分かりました、原告=検事の主張に反論をしたいと思います!この映画のテーマは、作中に引用される米国映画[スミス氏都に行く]でも明らかにように、[真実とそれに基づく正義]という一点にあると考えます。」

検事「フン」

弁護人「その内容を伝えるための、霊界であり殺人事件に過ぎません。そう考えれば、この裁判シーンは、[正義と真実]を語っているのであり、裁判後の展開も同テーマの敷衍です。この映画は首尾一貫しており、原告の主張は当たらないと考えます。」

検事「バカな!何度も、何度も、繰り返される断絶!そのたびに、新たな映画を見せられるような、この混乱ぶり、冗長さ!それで終始一貫しているって!!有り得ない!」

弁護人「・・・・・え〜と、断絶を感じたとしたら、それはテーマ性の欠如が原因ではなく、サービス精神ゆえと考えます」

検事「ナ・・・・何を!?」

弁護人「この映画の主人公は女弁護士です・・・・・でも、この映画の笑いを作り出してるのは更科六兵衛=西田敏行で、このキャラクターが活躍し映画が盛り上がるんですが・・・・いかんせん・・・・西田敏行が強力すぎた。」

検事・裁判長「・・・・・?!」

弁護人「ぶっちゃけ、この更科六兵衛がまるで主人公のようになっちゃってまして、それでこの人物が退場した瞬間映画が終わったように感じちゃうんじゃないかト・・・・・」

検事・裁判長「・・・・・・・・・・・」

弁護人「もうひとつぶっちゃけますと、この更科六兵衛の名誉という問題があって、それはこの戦国時代の落ち武者、更科六兵衛が[裏切り者]だったか否かという謎でして・・・・・・・・・・・・・この謎は答えが出ない・・・・・・主人公(に見える)更科六兵衛の汚名をはらぜずに[正義と真実]のテーマを語るって言われても・・・・・・て観客が思っちゃうかなぁ〜って」

検事・裁判長「・・・・・・・・・・・」

弁護人「でも、あくまで主人公は女弁護士なんで・・・・・そう見れば、主人公の[正義と真実]というテーマで一貫してるんですけどねぇ〜」

検事「ナ!な・・・・そんな、主人公が誰かって・・・・・・映画の、イヤ!物語を語る上の基本・・・」


弁護人・検事・裁判長「・・・・・・だよね・・・・・・」

裁判長「え〜判決です。この映画は、☆3.5の評価とする。西田敏行さんも面白かったし、中井喜一さんもよかったし、深津絵里さんもがんばってるしね。うん。面白いし。」

検事「でも、結局西田敏行さんのせいで、主役がかすんじゃったというコトでしょ・・・・・」

弁護士「イヤ、むしろ深津絵里さんの存在感の薄さも・・・・」

裁判長「イヤ、これはね監督さんが調整すべきですよ・・・・でも、できなかった・・・・面白さを追求すれば、西田さんメインだから・・・・結局エンターテーメントを優先することで-----」

弁護人・検事・裁判長「映画が金縛り・・・・・・」


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posted by ヒラヒ・S at 19:30| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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