2016年06月18日

スラムドッグ$ミリオネア

ファイナル・アンサー



評価:★★★★★ 5.0点

この映画は、インドでクイズ番組「クイズ・ミリオネア」に出場した、18歳の少年の物語だ。
全問正解の最高金額を手にしようとしたとき、少年は不正を疑われ逮捕されてしまう。
警察の取調べに対し、彼は無実を証明するためにスラムから始まったその半生を語り始める・・・・・。

:::::::::::::::::::::::クエスチョン:::::::::::::::::::::::
世界の都市部には全人類の約半分29.2億人が生活する。この都市部におけるスラム人口の割合は?
アンサー  : A・1割、B・2割、C・3割、D・7割



●正解はCの3割。
これは人口にして約9億人。全人類の6.5人に1人はスラムで暮らしている計算になる。
つまりこの映画で語られるスラム生活は厳然たる事実であり、世界中にスラムドッグは満ち溢れている。
特にこの映画の舞台、ムンバイの人口1,600万人の内スラムに800万人が暮らしているそうだ。
映画内で描かれる、物乞いをしやすくするために子供に傷を負わせたり、マフィアに支配された暮らしも事実で、むしろ現実はもっと酷いという。
そう考えれば、この映画はドキュメンタリーの上に成立した物語である。


:::::::::::::::::::::::クエスチョン:::::::::::::::::::::::
ミリオネアクイズ(4択)を15回連続、答えを知らずに正解するには確率は?
アンサー  : A・1/2万、B・1/200万、C・1/2000万、D・1/2億5千万



●答えは、D。
約2億5千万回トライして1回可能な数字である。
この数字から考えれば、偶然で起こるような確率ではない。
しかも、この映画の設定では、勉強の”べ”の字も知らないスラム育ちの男が、クリアしようというのだから警察でなくてもイカサマを疑って当然だろう。
しかし実際は、この主人公の過去の出来事・経験上から答えられる問題ばかりが出題されたため、答えられたというのが真実だった。
だが、こんな偶然が起こる確率は上の2億5千万回より、さらに有り得ない可能性に違いあるまい。
従ってこれは偶然ではない。この主人公のために、何か大きな存在が力を行使したとしか思えない。

これは「奇跡の物語」なのだ。

:::::::::::::::::::::::クエスチョン:::::::::::::::::::::::
「神は死んだ」といった哲学者は?
アンサー  : A・カント、B・ショーペンハウアー、C・ニーチェ、D・デカルト


●答えはC:ニーチェ。
ニーチェが「神は死んだ」と言ってから既に一世紀以上を経て、なお「神」の存在を口にすれば奇異の目で見られるに違いない。しかしこの映画― この映画で語られる「奇跡」は、「神」無くして有り得ない。
この映画は「神」を語り、同時に「奇跡」と「救済」がある事を予感させる。
この映画で語られた「神」は、それが実存するや否やを問うてはいない。
この映画内のスラムの現実においては、「神」の必然と必要、その実存は疑念の余地がない。

なぜなら「神」がいなければ、スラムで一日とて、命が維持できるはずは無い。
同様に「神」を見出さずに、スラムで明日も生きようという気力を、持ち得るはずがない。
つまりスラムで生きるということは、「神」とともに生きるということだ。

結局、この映画で見られる生死の境界線でウゴメく人々にとって、「神」とは、「信仰」とは、過酷な現実において絶対に必要な生きるための道具として在るのだ。
そう思えば、「神」を殺すなどという贅沢は、生きる事に不安を持たない先進国の傲慢だと知るべきではないか。



そしてインド。
インドの現実は神を信じて、それでも虫けらのように死んでいく命の為に、偉大な発明をして今日まで保持する。
その発明を「輪廻転生」という。
そこでは、例え今生で運悪く命を落としたとしても、清く正しく生きてさえいれば、輪廻転生の果てに遂には天国に至るのだ。そこには、それこそ2億5千万回の不運を乗り越えて、それでも前を向く「魂」の道が提示されているだろう。
逆に、ここまで念入りに「救済」を構築せねばならない、ムゴたらしい現実世界の存在を示すものだ。

この映画を見たうえで、インドの現実を垣間見た上で、あなたは「神」が死んだといえるだろうか?

最終問題です。50:50で残る選択肢は2つ・・・・・・

:::::::::::::::::::::::クエスチョン:::::::::::::::::::::::
この世に「神」は存在しますか?
アンサー  : A・存在する B・存在しない
●あなたのファイナルアンサーは?


スポンサーリンク
posted by ヒラヒ・S at 20:00| Comment(6) | TrackBack(0) | イギリス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!この映画はけっこうテレビで話題だったですね〜うーんそれでも私は「神」は存在しないと思ってるほう、です。親のしつけの問題もあるでしょうね💦「神様は食べさせてくれんけんね(笑)」こういう会話を聞いて育ったからでしょう( ̄▽ ̄;)

神様も人を選んでるよなぁ・・と思う事はあります。
Posted by ともちん at 2016年06月18日 22:11
>ともちんさん

神様も人を選ぶは名言です!

ま〜もう死ぬか生きるかギリギリのときに、「助けて神様〜」って叫んじゃう現実が、スラムにはあるんじゃないかと・・・・m(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年06月18日 22:45
こんばんは
インドの友達がたくさんいます。当時のことはよく聞かされます。冒頭のイスラムとヒンドゥの暴動に参加して頭勝ち割られて死にかけたムンバイの友達もいます。
インド人の生活はなかなか大変です。カースト制度は差別の根源ですがカーストが彼ら個人としての一人一人を守っているという側面もあります。神はいます。神が滅びればインドはバラバラになってしまいます。
インド映画はディズニーよりも非現実的でファンタジックです。彼らは日々の生活で手一杯、リアリティは何のカタルシスにもなりません。それでも最近はちらほらといい映画がとられるようになってきました。
今年も一本、インド映画の撮影誘致を計画しています。これで5本目、今度は大成功と行きたいものです。
Posted by 少彦名 at 2016年06月19日 09:33
>少彦名さん

コメントありがとうございます。
少彦名さんのお言葉で、改めてインドの厳しさを実感しました。
ちょっとした運で生死が左右されると言う現実の中では、神にすがらなければ生きていけないでしょうね・・・・

>今年も一本、インド映画の撮影誘致を計画しています。これで5本目、今度は大成功と行きたいものです。

とっても夢のあるお仕事で、日印友好のためにも、がんばって下さい。応援しております。
Posted by ヒラヒ・S at 2016年06月19日 12:06
おっ、アカデミー賞作品ですね!
評価5.0とは最高点とは出ましたね!
確かに、5.0納得の映画ですよね〜(*‘∀‘)
中国バブルが終わり、次はインドバブルですかね!
Posted by いごっそ612 at 2016年06月19日 15:20
>いごっそ612さん

どーもです。そーですねもう中国は失速し始めてますもんね。
世界中で一番映画が活きているのが、インド映画界のような気もしますね(^^)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年06月19日 15:57
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/439133055

この記事へのトラックバック