2016年07月20日

『サマーウォーズ』細田守監督のデジタルとアナログの接点

永遠の夏休み





評価:★★★★★  5.0点

涙が出るほど、感動的な映画でした。
日本のアニメは、これほど複雑で高度な物語を伝えられるという、その実力に、驚きます。

しかも、「アニメ絵=マンガ絵」という絵画表現は、抽象化とデフォルメにより、作り手の思いを記号的な明快さにより分かりやすく表現できると思います。
事実、こんな複雑で難しい話であっても、小学生の子供ですら、食い入るように見ています。

これは手塚治虫から始まる「マンガ=アニメ界」が、マンガ表現を子供向けだと規定せずに追及した結果、どんな物語でも表現できるレベルに高めてくれたおかげに違いありません。
その結果大人が見ても分からないような複雑な物語を、アニメ絵のおかげで幼児にまで届けることが出来るのだと思うのです。

そのアニメ表現力の豊かな結実の一つが、この作品だと感じました。

夏、信州上田、かつて真田家中の家来だった、伝統と格式の名家出身の憧れの先輩「夏希」とともに、夏希の曾祖母・栄の90歳の誕生日を訪ねた主人公。
その滞在中に、世界を破滅させかねない、現実と仮想空間の両方にまたがる戦いに巻き込まれる・・・・というようなストーリーです。


このアニメの魅力は、日本人だったら誰でも原風景として持っている、夏の親戚同士の交流のノスタルジックな姿にあると感じました。
その郷愁を生み出しているのは、その中心にいる曾祖母・栄・・・・・・・このキャラクターが、この映画の感動の源泉だと思いました。



この老婆はゴッドマザーとでもいうべき実力者で、清濁併せ持つ大人物。人の情に訴えかける力がスゴイです。
このひ―おばーちゃんのためだったら命を捨てても、役に立ちたいと思わせる、そんな説得力があります。
それは、この栄が心底から人を愛していて、関わる人々に無限の慈しみを持っているからだと感じました。

しかし、人間社会の中では人々を統べる力を持つ曾祖母・栄にしても、バーチャル世界に対しては無力だと自覚していたからこそ、デジタル的で仮想世界で力を発揮する主人公の健二をこの一族の後継者として選んだのでしょう。

これは、今後バーチャル世界がますます巨大化し管理が困難になっていくとき、この映画のように人間世界がつながる事と同時に、人間世界と仮想世界がコミュニケートすることが大事になるというメッセ−ジかと思いました。 

そしてこの図式は、どこか「コンピューターグラフィック映画」と「手書きアニメーション映画」の間にある図式とも似ていると思えるのです。

たとえばこの映画の「デジタル表現=CG」というアニメの形だけでは、感動し難いと思うのです。
もちろんCGでなければ表現できない得意な分野(正確なパースや立体表現など)があります。
しかし、それはあまりに正確で歪みがなく、自然界の形とは断絶した表現となり、冷たい印象になる様に感じます。

対して、手書きの絵はどうでしょう?


日本のアニメとその独特のアニメ絵はCGに置き換わらない情報があると思うのです。
それは自然界すべてが持っている「揺らぎ」に有ると考えます。 
そしてすべての生物はその「揺らぎ」にシンクロすることでつながり同じリズムを刻むとおもうのです。

あえて手書きのセルを描くことは不合理であるには違いありません。
その「揺らぎ」ゆえに決して同じ絵にならないということは、面倒で非論理的で感情的な、ホントに愚かな表現なのかもしれません・・・・・・・・・・しかし、それであるがゆえにデジタルに比べて「感動」という奇跡を起こせるのではないでしょうか・・・・・・

この映画では、人がデジタルとつながる可能性が描かれてはいますが、個人的には、人の気持ちを最大限に動かすのは、やはり人とつながる事で発生するマジックなのだと思いました・・・・・・

それは、「CGと手書きセル」の関係同様、面倒で大変なことかもしれませんが、確実に自らの中に感情の「揺らぎ」を、ひいては「感動」をもたらしてくれると思うからです・・・・・

今年は田舎に帰って、血のつながり、縁(えにし)の不合理なツナガリの中で溺れてみたい・・・・・・そんなことを想わせる、ノスタルジックな夏休みの物語です。


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タグ:細田守
posted by ヒラヒ・S at 20:48| Comment(4) | TrackBack(1) | アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!観ました(^◇^)おもしろかったです♪ばあちゃんはいいキャラですよね!こんな事に人類の未来を委ねるなよ・・と💦大げさで良かったですわ。
Posted by ともちん at 2016年07月20日 21:17
>ともちんさん

ありがとうございます(^^)この映画は、田舎を追い出されて、盆と正月ぐらいしか帰れない身には、特に沁みるんですよ〜(TT)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月20日 21:32
自分も評価★5で!ブロガーには共感できる映画では無いでしょうか?
曾祖母・栄!こんなおばあちゃん欲しかった(笑)
Posted by いごっそ612 at 2016年07月20日 22:07
>いごっそ612さん

ありがとうゴザイマス!やっぱり★5ですよね〜(^^)
実は、栄さん。うちのオバーちゃんがチョット似ていましたm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月20日 22:48
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