2016年07月29日

『ターミネーター』シュワルツェネッガーの訛りが強い件

悪役シュワルツネッガー



評価:★★★★★  5.0点
2003年の話ですが、シュワちゃんがカリフォルニア州知事に立候補したとき、反対陣営から『カリフォルニア』でなく『カリーフォールニャ』と発音していると言われ、シュワちゃん激怒したとか・・・・・
でも実はその訛りこそ、この映画の成功に大きく関わっているような・・・・・・

それはそれとして、この映画は、少ない資金の映画が必然的に持たざるを得ない、シンプルな構成から生まれた傑作だと思います。

お金が少ない映画だと登場人物、ロケ地、特殊効果、物量=大道具を制限しなければいけないので、ストーリーの複雑さやスペクタクル性に逃げる事が出来ない分、映画の基本構造(脚本・演出・役者・撮影の力)があからさまに作品の出来不出来に反映されるように感じます。
 
今さらながらストリーを書きますと――
1984年のロサンゼルスへ2029年から時を超えやって来た者達がいた。一体は殺人マシーン、ターミネーター(アーノルド・シュワルツェネッガー)であり、もう一人はリース・カイル(マイケル・ビーン)。
ターミネーターの目的は、未来の機械支配下の世界に反逆する人類の希望ジョン・コナーを消し去るため、1984年のロサンゼルスに住むジョンの母サラ(リンダ・ハミルトン)を抹殺することだ。
一方ジョン・コナーと共に未来で機械と戦うリースは、その暗殺計画を阻止しようと、ターミネーターを追って現代に現れたのだった。
サラを守るリースは、ターミネーターと、人類の未来を賭けて戦う・・・・・・・




こんなドラマだとケッコウ複雑に思えるかもしれませんが、正直に言えばドハデな追いかけっこです。
お金の関係でしょう、ドラマはシンプルです。
でもシンプルなドラマって、実は上手くハマると神話的な構造を持ったりしますが、この映画もヒロインの身に受難、一時的な死、死からの再生、処女懐妊、救世主の誕生の預言など、神話的啓示が満ちていまして、観客の無意識に強く訴えかける力として機能すると思ったりします。

そんなことから言えば、単純な対立構造=「ターミネーターとそれから逃げるヒロイン」に脚本を絞り込んだ事によって、観客は執拗な追跡と攻撃を見守るうちに、大げさに言えば、ついには生物の遺伝子レベルに書き込まれた原初的な恐怖を呼び覚まされたんじゃないでしょうか? 

でも、シンプルなストーリーというのは実は諸刃の刃で、物語の行方が観客に読まれてしまうので、よっぽど強いドラマを作らなければ成功は難しいと思います。

その点、この映画では「ターミネーターとそれから逃げるヒロイン」の対立が深く強く激しく感じられると思うのです。そして、いつか見る者は主人公と同化(共感、感情移入)して、我が事のように映画の登場人物の運命に心を奪われたのではないでしょうか。

それでは、なぜこんなシンプルな鬼ごっこが、ここまで見る人に感情移入を促したのでしょうか?

私は誰が何と言っても、ぜぇぇぇぇえっっったたい「悪役アーノルド・シュワルツネッガー」につきると言わせて頂きたい!

実を言えば、この映画は最初シュワルツェネッガーがカイル役で、O・J・シンプソン(アメフトのスーパースターで俳優活動もして、最後奥さんをターミネートしちゃったんじゃないのと疑われながら無罪になった人です)がターミネーター役だったそうです。
もし、その配役だったら、間違いなくこの映画は失敗していたと断言しちゃいます。

だって、シュワルツネッガーの方が強いもん!

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もう一度、この映画でシュワルツェネッガーが悪役をやることが、どれほど大事だったか確認して見ましょう。
彼がこの映画で出色の存在となりえたのは、はるばるオーストリアからアメリカにやって来たという「エトランジェ=異邦人」としての個性が重要だったと思うのです。
 
シュワルツェネッガーの容姿は明らかにゲルマン系で、冒頭で書いたように、英語にもひどいドイツ語訛(T'll be back がアイルベーベックに聞こえる)があります。
訛りの件追記させていただきます。「シュワルツェネッガーのはドイツ語訛でさえありません。彼は標準ドイツ語がしゃべれないからです。感心するほどのオーストリア訛で、ドイツでは氏は何よりも話す自称ドイツ語で有名」だとの情報を頂きました。
上記はドイツ・アルザス近郊在住の博士・大学講師でいらっしゃるブロガー「人食いアヒルの子」さまよりご教授頂きました。謹んで御礼申し上げます。
そのブログ「アルザスのこちら側」は一般言語学とマカロニ・ウェスタンの深い考察で勉強になります。


その言葉以上に異様なのが、この映画でこれでもかと見せつけてくれるボディビルで鍛えられた体です。
その、ボディ・ビル世界チャンピオンの超人的な筋肉の厚みを誇示して、人間離れした存在=怪物的な印象を見る者に与えはずです。

1977384b.jpgじつは、シュワルツェネッガー以前というより「ターミネーター」以前は、ボディービルダーは「筋肉お化け」という、どちらかというとネガティヴな捕え方をされていたと思うのです。
実際この映画より前は、「超人ハルク」で象徴的ですが明らかにキワモノとしての印象が強い。

しかしこの映画では、その筋肉の圧倒的な鎧がアンドロイドとしての人間離れした強さを裏打ちし、言葉の訛はプログラミング言語めいて聞く者に響き、更に非人間的なリアリティーを強めることに成功したのです。
それゆえ、その怪物的存在感が原初的な恐怖を呼び起こすに足る、禍々しい存在と成り得たと思うわけです。

この映画のターミネーターの役柄が求める要素と、シュワルツェネッガー自身が持っている異邦人としての個性が重なって、演技を超えたリアリティを発揮しちゃったんじゃないかと感じました。

そういう点で、この映画の悪役としてシュワルツェネッガーがいなかったら、B級映画としての成功も有り得なかったと再度言わせて頂きます。
 
しかし監督ジェームズ・キャメロンのその後の成功を考えた時、この映画はと〜っても示唆的であるようにも感じるのです。

彼はタイタニックやアバターにしても、それまで見た事のない形で圧倒的な存在感を持ったモノを観客に提示する事で、映画を成立させているように見えます。

その図式は、この映画『ターミネーター』におけるシュワルツェネッガーの存在に依って学んだ、超絶的な存在のリアリティを核とした表現に依っているのではないかと思ったりします。



シュワルツェネッガー出演の映画レビュー:『プレデター』/『エンド・オブ・デイズ』

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posted by ヒラヒ・S at 21:00| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おこんばんは〜これは定番の安定の「ターミネーター」リンダさんが強い母親で好演🎵シュワちゃんも好感が持てるし( ̄▽ ̄)スタローンさんもついでに安定してます。
Posted by ともちん at 2016年07月29日 21:35
>ともちんさん
確かに定番ですね〜〜( ̄▽ ̄)/
スタローンさんは、シュワちゃん見て自分も筋肉付け始めました。ロッキーのときの体とランボー2のときの体が、まるっきり違いますもん。コメ2消しときますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月29日 21:54
おお〜[ターミネーター]シュワちゃんの代名詞ですね!
筋肉お化けのシュワちゃんを使ったこそのターミネーターなのですね。
しかし・・筋肉凄いなあ
Posted by いごっそ612 at 2016年07月30日 07:06
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)この映画のキャスティングは、奇跡的なカンジが有りますね〜
シュワちゃん、ボディビルの最高峰と言われるオリンピアで7回優勝した、ボディビル史上に残る名選手だったそうで、この筋肉は圧倒的ですよね〜
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月30日 10:19
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