2016年08月27日

『キャデラック・レコード』ブルースとアメリカ史の映画のあらすじ感想

「生きながらブルースに葬られ」た男

Caderac.jpg

評価:★★★

アフリカ由来のブルーノート(ブルース音階の単音)。
そのブルーノートを使った楽曲、ブルース。

いつしかその音は、遠くアフリカから奴隷として連れてこられたアフリカ系アメリカ人の、悲しみを顕す響きを持つようになった。 
そのブルーノートはブラックミュージックすべてに共通するものだ。
ジャズ、黒人霊歌、ラップ、ヒップホップ、ロックンロール、そしてブルース、すべからくブルーノート(憂鬱な音)から逃れるすべはない。
20世紀以降の大衆音楽の歴史は、ブルーノートとリズムの変化だと思えば「ヒップホップ」から「演歌」まで、全てのルーツとしてブルーノートがあるのだ・・・・

そのブルーノートの精髄、ブルース・ミュージックがアメリカ社会でポピュラリティーを得るまでを、シカゴブルースを世に知らしめた「チェスレコード」とその代表レナード・チェスの盛衰とともに描いたのがこの作品である。
キャデラック・レコードあらすじ
1947年のシカゴ。ポーランド系移民レナード・チェス(エイドリアン・ブロディ)はブルース・ギタリストのマディ・ウォーターズ(ジェフリー・ライト)と、ハーモニカ奏者リトル・ウォルター(コロンバス・ショート)の二人と出会う。チェスは2人のブルースナンバーを自分のレコード・レーベル「チェス・レコード」から発売し大ヒットの成功を収める。所属する歌手も増え、ロックンロールの創始者となったチャック・ベリー(モス・デフ)や、ハウリン・ウルフ(イーモン・ウォーカー)、そして女性アーティストのエタ・ジェイムズ(ビヨンセ・ノウルズ)などが次々とヒットを飛ばす。チェスは所属する歌手にキャデラックを買い与え、自らも富を得るが、アメリカ社会は人権運動の荒波に揉まれ始める……。

この映画の語るところは、レナード・チェスと彼のブルース・ミュージシャンとの相克である。
それはそのまま、白人社会と黒人社会の相克でもあり、南北戦争の昔から人種間の相克がアメリカの歴史を動かす一つの要素ではなかったか。


歴史的に搾取・虐待を受けてきた黒人達。
この映画で描かれるブルースシンガー達が、多かれ少なかれ何がしかの破綻を抱えざるを得ないのは、アメリカ社会の人種差別ゆえである。
そしてまた人種差別ゆえに社会的に認知されるためには、白人の力を借り、白人のシステムに入らざるを得なかったのだ。



レナード・チェスはポーランド系の移民である。
ポーランド移民を指して「フーリッシュ、ポーリッシュ=馬鹿なポーランド人」という悪口があるぐらい、アメリカ白人社会の中では低く見られていた。そんなレナードがブルースに惹かれていったのは必然かもしれない。



そして彼レナード・チェスと彼の子供たち(ブルースシンガー)の、成功の象徴がキャデラックなのだ。cadi2.jpg
 
しかし、ブルースが世に広まり商業的に成功すると、黒人と白人の間に不信感が芽生え出す。
これは、アメリカ公民権運動の高まりによる、黒人たちの人種差別に対する抵抗も絡み、人種間の軋轢が強くなっていくことと無縁ではない。

ブルース。
アフリカ系アメリカ人の悲痛な叫び。
逃れようのない痛み苦しみを少しでも減らすために必要不可欠な歌。
ビヨンセの歌声を聞けばわかるはずだ、ブルースとは泣き声に他ならない・・・・

レナード・チェス=白人にとってのブルースは、黒人たちのように必要不可欠な要素ではない。
ブルースがなくても生きていける。
それでもブルースを求める。
それが愛でなくてなんだろう・・・・・
彼は真にブルースを愛したのだ・・・・・・・

しかし黒人のブルースと、白人にとってのブルース、その人生に位置する重さを考えたとき、ついに仲違いするしかなかったのだろう・・・・
レナード・チェスからみればブルースに片思いをして、ついにその恋は実らなかった・・・・・

この映画はその実らなかったレナードの恋に対して、ビヨンセが製作総指揮でも分かる通り、黒人側から感謝と哀悼の意を表して贈られた、ブルース・ソングだと思うのだ。

曲名は・・・・そう「生きながらブルースに葬られ」はいかがだろう。



と書いて来てなんですが、この映画の評価★3でも分かるとおり、実を言えば喰い足りないところがあるのは、チェスレコードの歴史をこの時間で書くのに無理があって、駆け足になってしまったことが個人的にはマイナスポイントでした。
それゆえ映画表現力として評価★3になったものの、ブルースの入門映画としては良いバランスかとも思いますので、興味のある人はぜひご覧ください。

ということで、この映画の主人公マディ・ウォーターのブルースをご紹介

人マディー・ウォーターズから「ローリング・ストーン」

この曲からミックとキースの「ローリング・ストーンズ」の名前が付きました。
そんなミック・ジャガーとキースがマディー・ウォーターズ競演した一曲「Baby Please Don't Go」


マディー・ウォーターズの曲ではこれも名曲「 Hoochie Coochie Man」


コチラをコピーしたのが、エリック・クラプトンの「 Hoochie Coochie Man」

ヤッパリ黒人のマッタリ感は出ないのが不思議なところ・・・・・・


映画に敬意を表して、ラストは本家エタ・ジェームズ貫禄の”At Last”




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posted by ヒラヒ・S at 16:49| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは〜ビヨンセさんええですわ〜🎵( ̄▽ ̄)何回も聞きたくなりますね。背景的には「ドリームガールズ」と似てますのやろか・・??
Posted by ともちん at 2016年08月27日 18:05
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)ビヨンセ上手いですよね!
「ドリームガールズ」と似て、ショウビジネスの内幕モノですm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年08月27日 18:31
エイドリアン・ブロディも出てるんですね!
面白そう〜(*‘∀‘)
そういやアクセスは順調にアップしていますか?
こっちは悪戦苦闘中💦
Posted by いごっそ612 at 2016年08月27日 19:33
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)
私のほうは、相変わらず弱小ブログです。
一日100PVあるかどうか・・・・・検索から入る件数がすこし伸びてきたかもしれませんが、波がありますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年08月27日 20:11
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