2016年10月02日

ドラマ『鈴木先生』土屋太鳳のスクール水着!新時代の教師像の感想・解説

がんばれ「鈴木先生」!!



評価:★★★★ 4.0点

それはそれとして、このTVドラマは中学生の「性」についての言及が、なかなかエグくて刺激的でした。
また今更ながら、このドラマにマドンナ役の生徒小川蘇美の役で、16歳の土屋太鳳が出演していることに気が付きました・・・・・・ま〜カワイイ。

しかし、このドラマで最も興味深かったのは学園ドラマとして、新しい世界観を開いた事です。
『鈴木先生』情報
原作
武富健治による日本の漫画作品。『漫画アクション』2005年6月7日号より2011年1月18日号まで連載。
単行本は全11巻が刊行され、2007年、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。

TVドラマ
2011年4月25日から6月27日まで全10回でテレビ東京にて放送され、日本民間放送連盟賞を受賞。
新たな教師像を描いた学園ドラマ。
中学生の性や、給食メニューの廃止、食事中のマナー、先生の人気投票、モンスターペアレントなど、現代の学校教育の現場で生じている問題を、鈴木先生が激しく悩みながら解決していくドラマ。
鈴木先生 「DVD-BOX徹底解剖スペシャル」


TVの好評を受け、映画化が決定『映画 鈴木先生』が2013年に公開された。
映画 鈴木先生 予告

かつての学校を扱ったドラマや映画の先生像の変遷を追うと、新しい教師像という点が明快に分かるように思います。


ドラマの教師像の歴史


そもそも、明治の初めより教師とは聖職で、子供たちを教え導く絶対者のような存在でした。それは、小学校を出てすぐ丁稚として奉公するという現実の中で、教育を受けた教師というのはエリートであり、社会全体の尊敬の対象だったからです。
そのイメージは、昭和の時代を通じて在った偉大な聖職者としての先生像に現れていると思います。
かつての教師は、自らの命を懸けて生徒達を教導することを社会から求められ、じっさい教師もその要請に良く応え、「先生さま」と呼ばれるように、社会と教師の相互に信頼と敬意が存在しました。
聖職者としての先生を描いた『二十四の瞳』(日本//監督木下恵介)

昭和40年代からの学園モノの主役となった熱血教師とは、高度成長期の活力と団塊の世代の激しい競争を勝ち抜くための、スパルタ教師のモデルだったでしょう。
更に時代が下がりヤンキーなど型破りの教師が出てきますが、これは熱血教師のバージョン違いと見る事もできます。
『ごくせん』(日本/2009年/監督佐藤東弥)
平成時代の熱血教師はすでに、ファンタジーとしてしか描けないと感じます。


更に時代が下ってバブル期に至り、3年B組金八先生(1979年〜)で描かれた時期は、すでに旧来の聖職としての教師像が揺らぎだした時代です。

空前の好景気の中で教師の職は、一般企業に就職できなかった大学卒の行き場所だという社会通念もあり、教職自体が権威を喪いつつある時でした。

それゆえ、このドラマの主人公である金八先生はそんな世間の眼に対し、個人の努力により教師としての権威を必死に守る姿が感動を呼んだのですが・・・・・
しかし、教師に対する世間(保護者)の敬意が薄れていく現実の中で、一教師が聖職を語っても無理があると、正直、思います・・・・


しかしいずれにせよ従来の教師像は、色々の味付けの変化はあるものの本質的には、生徒を引っ張る「指導者」としてありました。

しかしそう思えば、初めてこのドラマの先生は「導かない」教師像を描いて新鮮だと思います。

『鈴木先生』の教師像



たとえば今までのドラマでは、元気のない生徒や、ヤンチャな生徒達を、先生が体当たりで大声をあげて導こうとします。
暑苦しい位付きまとって、相手の熱意に火をつけようと頑張ります。

しかし対照的に、この映画では熱くなって騒ぐのが生徒や保護者であり、教師は沸騰する中心で沈思黙考するのです。hqdefault.jpg

この教師は、何者でしょうか。

私には、すでに教師という職分が、人に物を教えたり人を導いたりする存在ではなく、一個の調整者としての役割を果たさざるを得ないと告げているように思います。
それゆえ、主人公の教師は過熱し騒ぎが増大する中で、困惑しつつ問題を解決する道を必死に模索する事になります。

そんな、理性的な調停者役として出演した長谷川博己は、まさにはまり役だと感じました。

考えてみれば、昨今の教育現場を見れば、生徒たちは言うことを聞かないわ、怒れば反抗するわ、力ずくで従わせようとすれば、親まで出てきて大騒ぎです。

繰り返しますが、かつての聖職者としての教師像は社会全体のバックアップがあって、教師の絶対的権力を当然のこととして、初めて可能な姿だったに違いありません。

それが、今や教師の権威は地に落ち、このドラマのように孤立無援で右往左往するしかないという状況です。
モノを教える人間を信じられずに、学習効率が上がるとはとても思えないのですが・・・・・
そんな時代変化を敏感に捕らえた、新しい学園ドラマを成立させたように思います。
suzukisennsei2.jpg
しかし、現実に近いであろうこの教師像を元にした物語は、正直暗く鬱陶しいものです。
それゆえ、この爽快感のない物語は劇として作りにくいようで、その後のフォロワーを見たことがありません。


しかし、現実離れした熱血教師は「水戸黄門」のように単純で明快でスッキリするかもしれませんが、正直現実の憂さ晴らしでしか有りません。

私としては、このドラマが切り込んだ現実の「教育現場」の姿こそ、今価値がある物語だと感じました。
ホントに辛い立場だと思うんですが、先生達にはがんばってほしいと切に祈っております。


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posted by ヒラヒ・S at 20:49| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは(ФωФ)鈴木先生は何回か観ました😅けどあんまり印象に無いですね〜😅やはり、ごくせんですね🎵おもしろかったので。一番真剣なのは金八先生ですけど。
Posted by ともちん at 2016年10月02日 21:47
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)
「ごくせん派」ですか!見ていてスッキリしますね!
鈴木先生は爽快感がゼロですが、現代度が一番高い気がしますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年10月02日 21:54
断然「鈴木先生派」ですね。型破りな教師という型通りのファンタジー教師には何の魅力もなく、また得る物もないので、苦手です。
「鈴木先生」は現代感、現実感があるのに、ドラマ、映画ではまさに型破りな人物として描かれているのが面白いです。
Posted by 兎おっさん at 2016年10月03日 02:20
これ映画版観ましたが、なかなか面白かったっす。TV版は平均視聴率2.16%という最低記録だったけど、ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、日本民間放送連盟賞のテレビドラマ番組部門最優秀賞などの栄誉に輝くという何とも不思議な現象をもたらしたらしいっすね。土屋太鳳出てるんですね〜。
Posted by いごっそ612 at 2016年10月03日 06:33
>兎おっさんさん
ありがとうございます。ご出張いただき恐縮です(^^;
やはり、このドラマの教師像というのが現代の実像に近いでしょうね〜今の先生は、本当にタイヘンですよね〜
Posted by ヒラヒ・S at 2016年10月03日 11:32
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)
視聴率2.16%はTV東京が悪いかと・・・・日テレ・土曜9時だったら、20%は固いと思いますが、どううでしょう・・・・
Posted by ヒラヒ・S at 2016年10月03日 11:34
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