2016年10月03日

映画『グラン・ブルー』リュック・ベンソンの深き海の世界/実話モデル紹介・あらすじ・感想・解説

物語は海から始まったのだ・・・・



評価:★★★★★ 5.0


「偉大な青」から始まる物語。
gurannburu-.jpg全ての物語が生み出されたのは、生命があるがゆえだとすれば・・・・
海こそ、命の揺り籠だった。
だから人は海を見るとき、限りない郷愁を覚えるだろう。
そして痛みも共に感じはしまいか。
人はそのゆりかごを捨て、遠く地上を目指したのだから。
そこがもう再び戻れない、母の胎内とも知らずに・・・・

この映画の男たち。
彼等は、純粋で、痛々しいほど無垢だ。
それが子供の持つ属性と重なるのは、決して偶然とは思えない。
彼らは、空を飛ぶ代わりに、海に潜るピーターパンなのだ。
自らを拒絶した母なる海に、愛を求める幼子達。
成長する痛みよりも、甘美な愛を求める者たち。


彼らを責めることも出来るだろう。
人にノスタルジーがないのであれば。


そんな少年達を、女は見守る。
いつでもどこかで不安を持って。
母なる海に抱かれた男たちに、自分の場所を見出せずに。
彼らを愛してしまった自分を悔いながら。
男たちが、いつか永遠に母の胎内に戻る予感に震えつつ。

その悲しい運命を引き受けてまでも、その無垢な男の子を選んでしまったのは、やはり母性ゆえだったろう。


グラン・ブルーあらすじ


1988年シチリアの近海、難破船の解体作業中に事故があり、潜水士のエンゾ(ジャン・レノ)と弟ロベルト(マルク・デュレ)は1万ドルで救助を請け負った。同じ頃、エンゾの少年時代の親友ジャック・マイヨール(ジャン=マルク・バール)は、アンデス山脈にあるローランス博士(ポール・シュナール)の研究所で、氷の下の深い湖に潜っていた。彼は酸素ボンベ無しのフリーダイバーで驚異的な潜水能力の持ち主だったため研究に協力していたのだ。保険調査員ジョアンナ・ベイカー(ロザンナ・アークエット)は氷原で起きた事故調査のため博士のもとを訪れ、ダイバーのジャックに合う。ジャックがコート・ダジュールに戻った時エンゾが表れ、シチリアで開催されるフリーダイビングの大会に参加を強く迫った。アンナはローランス博士からジャックの動向を聞き、シチリアへと向かう。いよいよ大会が始まり、ジャックは深く深く海の中へと入っていった・・・・・・・・・・・・・・

(フランス/1988年/169分/監督リュック・ベッソン/脚本リュック・ベッソン,ロバート・ガーランド/音楽エリック・セラ)


『グラン・ブルー』実話モデル


この映画は伝説のダイバー、ジャック・マイヨールエンゾ・マイオルカをモデルにフリーダイビングに命を懸ける男達の姿を描いたリュック・ベッソン監督の名作です。
ジャック・マイヨール
(Jacques Mayol, 1927年4月1日- 2001年12月22日)は、フランスのフリーダイバー。
建築家の父が上海で仕事をしていた子供時代、家族と共に毎夏のようにバカンスのため来日していた10歳の時、佐賀県唐津市の七つ釜ではじめてイルカと出会う。そして、彼はイルカと一緒に泳ぎたいとの思いで、イルカの調教師になった。その後フリーダイビングに転進し1966年にバハマで65mの世界記録を出す。以後8回に渡り世界記録を更新。最長潜水記録はエルバ島で1983年に出した105m。
唐津の海での交流を語った映画「ジャック・マイヨールの愛した海

エンゾ・マイオルカ
(Enzo Maiorca 、1931年6月11日 - 2016年11月13日)は、イタリアの男性フリーダイバー。
2016年現在存命。
1960年にシラクザで45mの世界記録を出し、以後17回世界記録を更新。
最高記録はシラクザで1988年に出した101m。

両者とも歴史を刻んだダイバーで、エンゾ・マイオルカとジャック・マイヨールの間で1966年から1989年まで激しい世界記録の更新合戦が繰り広げられた。


リュック・ベンソン監督は、この現代のピーターパンたちのわがままが、魅力的な「海」の引力ゆえ不可避であることを、映像によって証明して見せた。

この映画は、更に「海=海中」の世界の魅力を深く掘り下げた、同監督の海洋ドキュメンタリー「アトランティス」を見れば、この映画の男たちの心の在りようが、実感として理解できるはずだ。


当ブログ関連レビュー:『アトランティス

そして、リュック・ベンソン監督も、この映画以降その作品からフランスの色が希薄になっていく。
「グランブルー」のヒットによって、はっきり「商業監督=ハリウッド進出」を視野に入れたのだろうと個人的には想像しているのだが・・・・・・

リュック・ベンソンにとっても、「物語は海から始まった」のかもしれない。
エリック・セラ作曲「Le Grand Bleu
この曲を暗い部屋で聴くとき、深く静謐に共鳴する青の音に満たされる・・・・・


2001年ジャック・マイヨール氏は自死を遂げられました。
他者の人生を、勝手に忖度することは礼を失するかもしれませんが、氏は地上の人ではなかったのかもしれないと、そう思いました・・・・・・・ご冥福をお祈りします。


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posted by ヒラヒ・S at 18:10| Comment(4) | TrackBack(0) | フランス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!海は癒されますわね〜(^◇^)イルカの声・・・ジャン・レノさんてこういう映画出てるんですね。真夏日が続くのでいいですね🎵
Posted by ともちん at 2016年10月03日 19:12
この映画BD持っています!
名作っすよね〜ジャン・レノ渋いっす!
Posted by いごっそ612 at 2016年10月03日 20:02
>ともちんさん
ありがとうございます(^^) この映画がジャン・レノの出世作でした。
この映画でリュック・ベンソンとジャン・レノの二人は世界クラスの存在に成り上がったと思います。
Posted by ヒラヒ・S at 2016年10月03日 21:39
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)
名作ですね〜私なんかろくすっぽ泳げないのに、ダイヴィングをやろうかと真剣に悩みました。
Posted by ヒラヒ・S at 2016年10月03日 21:40
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