2017年01月04日

岩井俊二『四月物語』聖なる少女の映画あらすじ・ネタバレ・ラスト

永遠の少女



評価:★★★★   4.0点

岩井俊二という作家が、映像詩人であるという事実を、最も鮮烈に示した作品だと思う。
このリリカルな映像に魅了されながら、この作品世界を形成している本質が実はファンタジーでは無いかと感じた・・・・・

四月物語あらすじ

北海道の旭川駅で父(松本幸四郎)や兄(市川染五郎)母(藤間紀子)姉(松本紀保)の見送りを受けて上京した卯月(松たか子)。桜咲く東京の四月、武蔵野にある大学に通うため独り暮らしを始める。新しい世界に触れる彼女は、友人・さよ子やアパート住人の照子など、様々な人々と触れ合う。都会に日々刺激をうけつつ暮らす彼女は、実は、高校時代の憧れの先輩・山崎(田辺誠一)がいるからこの大学に入ったのだ。卯月は、山崎がバイトをしている本屋を聞きつけ、しばしば通うようになるが、先輩には気付いてもらえない・・・・・・・・・・

(日本/1998年/67分/監督・岩井俊二/脚本・岩井俊二)

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四月物語感想・解説
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通り過ぎる少女の眼差し。
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春のきらめき、ソプラノの響き。


散る花びらとスカートのロンド。



ばら色の唇は微笑んで。


ただこの時も星は巡り、
はるけき未来も今は過ぎ行く。


少女のステップきざむ陽のなか、
花の色は無情にうつろう。



・・・・でも、君を見る今日は、永遠の4月。


・・・・まだ、君といる今日は、永遠の4月。


『自転車』 (四月物語 サウンド・トラックより)
このサントラ盤は岩井俊二監督自身によるプロデュース、松たか子によるピアノ曲5曲を含め、美しいインストゥルメンタル演奏が聴ける。

そんなこんなで、この映画にある少女の肖像は、男から見た幻想の少女だ。
一時間という短い作品で、ストーリーも希薄な、まるで一人の少女をスケッチしたようなそんな作品だ。4gatu.jpg
しかし、その物語性の欠如によって、この映画の映像は「詩的」に表現されたと思える。

ここに汚れはなく、ことさら美化された少女が居る。

宝塚の男役のように、決して存在しない美だからこそ、その存在は見る者の心の中で永遠の命を持つ。

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この映画の監督岩井俊二の魅力は、男の視点から少女の幻影を描きながら、清潔に見えるところだと感じる。(右:岩井俊二監督)

本来、男性が描く女性とは性的対象としての「なまなましさ」がにじみ出るものだが、この映画ではそこをリリシズムで覆っていると感じる。

それはたぶんこの作品が、監督の中で完璧に作り上げられた「少女の偶像=アイドル」に対する、ピュアでイノセントな「賛美歌」だからではなかったか。

4gatu-matu.jpg
つまり、このリリカルな映像詩は、幻想の少女、虚構の少女を、スクリーンの夢として共有しようという試みなのである。


監督と観客の見る夢幻の少女は、その心の中で実像を結ぶ。

その少女の光芒に魅了されたとすれば、永遠に喪われない輝きを心に宿した事になるだろう。


決して「ロリコン」じゃないからね、「幻想のロリコン」だからね!

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以降「四月物語ネタバレ」を含みますので、ご注意下さい。
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憧れの先輩山崎を求めて、上京、進学した主人公の卯月は、山崎のバイト先の書店を頻繁に訪れるが、気付いてもらえない。
しかしある日、同じ高校じゃなかったかと先輩が尋ね、高校時代の彼女を想い出してくれる瞬間が訪れる。
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卯月は武蔵野大学に入学したことを告げる。
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四月物語ラストシーン
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帰ろうとした時雨が降ってきて、傘の無い卯月に山崎は声を掛けてくれたが、傘を借りずに店を後にする。
しかし激しい降りに再び書店に戻り、赤い傘を借りる。

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雨宿りをしている心の中。
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「大学合格の時、担任は奇跡だと言ったが、どうせ奇跡と言うなら、私はそれを愛の奇跡と呼びたい」と、そう考えていた・・・・・・・・・


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posted by ヒラヒ・S at 17:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
岩井俊二作品か・・・実は結構苦手だったりします(^_^;
かなりの名作を作り出し有名な監督なんですよね〜。
リップヴァンウィンクルの花嫁というのを借りたんですけど、あまりの長尺に挫折してしまった過去も・・
いや、でも観てみなければならないですよね。
Posted by いごっそ612 at 2017年01月05日 05:44
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)
岩井俊二はビジュアルの美しさで魅せるタイプの監督ですよね〜しかも、この映画だとほぼストーリーがなかったりしますし・・・・
やっぱり作家性の強い監督の場合、合う合わないがあると思いますよ、体質が合わないと言うか(^^;
私の場合、北野武がそれですね〜
Posted by ヒラヒ・S at 2017年01月05日 09:57
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