2017年02月19日

映画『Ray/レイ』レイ・チャールズの伝記・あらすじ・ネタバレ・ラスト・感想

映画で伝記は難しい



評価:★★★   3.0点

この映画の見所は、何といってもジェイミー・フォックスの本人と見間違うかのような演技です。
また、レイ・チャールズって誰?というソウル・ミュージックに今まで興味がなかった方にとっては、レイの人生を上手くまとめたガイドブック、入門書的な映画として優れていると思います。

しかし、個人的には、もっと別の描き方もあったのではないかと、少々残念に感じたのも事実です・・・・・

Ray/レイ・あらすじ

17歳のレイ・チャールズ・ロビンソン(ジェイミー・フォックス)は、ジョージア州で生まれ、フロリダ州のセントオーガスティンで黒人にピアノを教えられて育った。1948年、17歳の時バスでシアトルに移り、小さな酒場Rocking Chairで歌い、同時にヘロインも覚える。翌年、マクソン・トリオとして人気が出て、バンドとツアーに出るようにもなる。
しかしレイは幼少期にトラウマがあり、水に浸かる感覚に襲われ、弟を熱湯で溺死させた後悔があった。そして、7歳のときに緑内障で視力を失っていた。
バンド活動の後、レイはソロとして活動を始め“Baby,Let Me Hold Your Hand”でデビュー。ナットキングコールやチャールズ・ブラウン の二番煎じといわれながらも、“Mess Around”1954年 “I Got a Woman”がヒットする。ゴスペル 歌手のデラ・ビーと結婚もし、長男も生まれる。同時に愛人メアリー・アンと関係を持ち、さらに1957年女性ボーカル・グループのレイレッツ(Raelettes)のマージーを愛人にする。1959年「ホワッド・アイ・セイ」が大ヒットし、愛人マージーと共にロスに移住した。アトランティックレコードからABCレコードに移籍し、1960年「我が心のジョージア」でグラミー賞を初受賞。「旅立てジャック」(Hit the Road Jack)がヒットした。公民権運動が盛んになり、ジョージア州での公演を差別を理由にキャンセル。「アンチェイン・マイ・ハート」(Unchain My Heart)を歌った後、警察に逮捕されるがかろうじて釈放される。欧州ツアーも成功しヒットも出るが、男児を生んだ愛人マージーはヘロインで死亡する。さらに1965年ボストン空港で麻薬密輸で逮捕される・・・・・・・

(原題 RAY/製作年2004/アメリカ//監督テイラー・ハックフォード/脚本テイラー・ハックフォード、ジェームズ・L・ホワイト)

Ray/レイ出演者

レイ・チャールズ(ジェイミー・フォックス)、デラ・ビー・ロビンソン(ケリー・ワシントン)、マージー・ヘンドリクス(レジーナ・キング)、ジェフ・ブラウン(クリフトン・パウエル)、メアリー・アン・フィッシャー(アーンジャニュー・エリス)、ジョー・アダムス(ハリー・J・レニックス)、アレサ・ロビンソン(シャロン・ウォーレン)

Ray/レイ受賞歴

第77回アカデミー賞・主演男優賞
2005年ゴールデン・グローブ賞最優秀主演男優賞(ジェイミー・フォックス)


第77回アカデミー賞・主演男優賞ジェイミー・フォックスのスピーチが感動的

プレゼンターはシャーリーズ・セロン。
【大意】ワォ、ワォ、ワォ。もう一回やらなきゃ!うぉ〜(観客も答える)あ〜〜〜(観客も答える)イヤ〜準備は良いか。これがレイチャールズだ。レイ・チャールズと彼の美しい遺産のために拍手を送りましょう。
私は今日多くの人々に感謝を捧げたい(関係者に対する賛辞)
私は、この経験により、多くの人々と知り合う機会を得ました。そして、他の人々にも感謝したい。私の妹4フィート11しかないが、純粋な愛を持っている。私の娘にも感謝したい、私がここに立つより前に「もし勝てなくっても、お父さん、ずっといかしてるから」と言ってくれた。
私はオプラ(ウィンフリー?)とハル(ベリー?)に会ったので、名前を言わせて欲しい。後で二人と話したい。
オプラはシドニー・ポワチエと呼ばれる人物に会わせてくれた。そしてシドニー・ポワチエは言いました「前に見たことがあるよ。君の目を見たら、そこにつながりを見出したよ」そして彼は「私は君に責任を上げよう」と言いました。それで、私は今夜その責任を果たせました。ありがとうシドニー。
これから話す事はこのスピーチの中でも最も難しい部分でしょう。私の娘は私の祖母の名前マリーを共有しています。私の祖母の名前はエステル・マリー・タリー。そして今夜彼女は来ていません。それこそが困難な部分です。しかし彼女は私の最初の演技の師でした。彼女は私に言いました「真直ぐ立って。肩を後ろに引く。何らかの感覚を掴んで演技する」私達はいろんな所に行き、私が乱暴な事をすると彼女は言いました。「行動はどこででも自分らしく」そして、私が馬鹿なことをすると、彼女は私を叩きました。彼女は私を折檻し、そして偉大な彼女は、折檻する事でオスカーへの道を示したのです。彼女は折檻のあと「お前を南部の紳士にしたい」からとその理由を語りました。そして今でも彼女は私と話します。今では彼女は私の夢の中でしか語りかけませんが。でも、今夜は寝るのを待ちきれないぐらい、いっぱい話すことがあります。愛してます。

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Ray/レイ・チャールズとは?

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レイ・チャールズ・ロビンソン(Ray Charles Robinson、1930年9月23日 - 2004年6月10日)は、アメリカ合衆国・ジョージア州オールバニ出身の歌手、ピアニスト。
盲目というハンディを背負いながらも、R&Bやジャズ、ゴスペル、黒人霊歌などのブラックミュージックを、黒人である自らのルーツを遡って行くような音楽活動の中で、自分の魂を歌うという「ソウルミュージック」の形を自らで実証し、「ソウルの神様」と呼ばれたカリスマとなった。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第2位。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第10位。
「Q誌の選ぶ歴代の偉大な100人のシンガー」において第24位。(wikipediaより)


<レイチャールズ名曲集>

Georgia On My Mind (LIVE)


サタデーナイトライブの"Hit the Road Jack"


若き日のレイ・チャールズ(1964年)"Unchain my Heart"


レイ・チャールズ、サントリーウィスキーのCM曲"いとしのエリー"


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Ray/レイ・感想・解説

以下の感想には当映画に対する否定的内容が含まれています。
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間違っていない。
歌っている。
踊っている。
時代も描かれてる。
苦悩もある。
盛り上がりもある。

ジェイミー・フォックスの本人と見間違うかのような演技も必見の価値がある。

でも、浅い。

この映画より、レイの唄のワンフレーズを真剣に聞くほうが、ソウルが、ブルースがある。

レイを知らない人向けの、カタログのように感じた。
映画で伝記を描くのはホントに難しいと思う。

例えば、この映画に黒人がブルースを生む根源的理由が描かれているだろうか。
人種差別問題を抜きに、アメリカの不公平な社会の実体を描かずして、麻薬に溺れるわけも、成功すればするほど苦しまざるを得ない、アフリカ系アメリカ人の現実を理解できるはずはない。

しかし、そこまで描けばハリウッド映画として流通が難しいと思った、製作者側の意向が反映されていると思わざるを得ない。

結局のところ伝記は文章・言葉の方が、正確に深く伝えられると思う。

・・・・・・・・・・・という事で、レイ・チャールズ自伝『わが心のジョージア レイチャールズ物語』より
彼の言葉を

「ことさら世間に宣伝するつもりはないが、私が差別問題に最初に反対した音楽家の一人だった」

「どんなにささやかな名声しか得られなくても、私は黒人の前で演奏して稼ぐ道を選んだろう。私を支え続けてくれたのは彼らであり、その彼らを辱めるようなことなど決してできなかった」

「私に関して重要なことは”私は変わらない”ってことだ。絶対に変わらないんだよ。50年代、私がゴスペルの曲をリズム&ブルースに変えた時、私は地獄を味わった。牧師たちは私を汚い犬と呼んで、地獄で腐ると言ったんだ。私はそのころ、まったく金が無かった。馬鹿みたいに極貧だったが、でもあのころのレイと今のレイはまったく同じなんだ。自分がすべきことをするだけだ。私は音楽を変えたかった。金も稼ぎたかった。神様の精神を汚したから私を殺すって言うなら、どうぞ勝手にしろ、ってね」

「私がデトロイトでコンサートをした時のことだ。プロモーターがやってきて、スティービー・ワンダーという10歳の少年をステージに上げて歌わせていいかと訊いてきた。私は了承したがそのステージを聴いた瞬間、その子供が驚くべき才能の持ち主だと分かった」

「みんなは、私がカントリー・ミュージックをやることに困惑しているようだ。(中略)たまに、友人や記者から、私が商業主義に走ったという声を聴くことがあった。その意味がまったくわからなかった。私はそれ以前もずっと商業的だったと思っていたからだ。私はお金のために演奏するまさにその音楽業界に身を置いているのである」

「私は自分がアメリカを愛いしてないなどと嘘は言わない。アメリカを愛してはいる。だがこの国の何にいらだつのかをはっきり言おう。それは偽善だ」


残念ながら、レイの深さを感じられなかったのが、寂しくてチョット厳しくなりました。

許してください。

映画自体は、手際よく音楽的業績やヒット曲も網羅して、うまくまとめています。
この映画を見て、レイ・チャールズの曲を好きになる人が増えれば、レイも天国で喜んでくれることと思います・・・・・


ご興味のある方は当ブログの下の記事をご覧頂くと、人権問題、ブラックミュージックについての問題の根深さが、至らない文章ながらも、若干は伝わるかと思います・・・・・・・・
当ブログ関連レビュー:
『招かれざる客』
黒人差別の歴史を書いています。


当ブログ関連レビュー:
『キャデラック・レコード』
ブルースの歴史を書いています。


当ブログ関連レビュー:
マイケル・ジャクソン『ムーン・ウォーカー』
マイケル・ジャクソンの受けた黒人差別を書いています。


当ブログ関連レビュー:
『ブルース・ブラザース』
レイ・チャールズ本人も登場する最強ブルース・ギャグ映画。


当ブログ関連レビュー:
『クラッシュ』
現代アメリカにある人種間の摩擦の真実。



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以降

Ray/レイ・ネタバレ

を含みますので、ご注意下さい。
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妻ビーの説得で麻薬更生クリニックに入り、禁断症状に苛まれるが麻薬から足を洗った。
弟の溺死事故からのトラウマも克服した。


【意訳】
ハック医師:あなたは、身体的な反応の最悪の事態を切り抜けました。我々は、精神療法セッションを開始しなければなりません。/レイ:あー、それ、忘れてください。頭はスッキリしてますよ先生。もうコントロールできてます/ハック医師:チャールズさん、あなたは私が関わった、最初の有名人ジャンキーではないんです。/レイ:ジャンキー?何だって・・・/ハック医師:誰も私を騙す事はできない。いくら払おうとね。/レイ:そんなことしてません/ハック医師:あなたが私がその裁判官に肯定的な報告を出して欲しいならば、それに見合う事をしなければなりません。/レイ:先生!ハック先生!先生(水に浸る)/母:レイ、さあ、レイ、私と遊んで・・・・彼は、そこにいません。坊や私と話して・・・・私は悪夢よ・・・・どんな麻薬だって、私を遠ざけることはできない・・・・/レイ:ママ、約束を守ったよ。/母:あなたは、ちゃんと強くなった。私が思いもしないところまで行った。でも、あなたはまた障害を持った・・・・・坊やここにおいで・・・・ここに/弟:レイ・・・・兄さんの失敗じゃない/母:ここで、私達に約束して・・・・・・あなたは、もう決して他の人間にならないって。そして何があっても、あなたはもう二度と障害を持たないって。そしていつでも自分の二本の足で立つって/レイ:約束するよ・・・・


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Ray/レイ・ラストシーン

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そして79年、ジョージア州は、かつてコンサートの契約違反で永久追放を宣告したレイの名誉を回復し、『我が心のジョージア』を州歌と認めた。
Ray-Last.png


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posted by ヒラヒ・S at 18:35| Comment(4) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは( ̄▽ ̄)ジェイミー・フォックスさんは上手い!俳優さんだと思います。本人さんを知りませんが(笑)「いとしのエリー」は素晴らしいです♪
Posted by ともちん at 2017年02月19日 19:07
ジェイミー・フォックスの演技をもってしても脚本がダメならば名作にはならないということでしょうかね?
こういう系の映画はレビュアンさんは評価厳しそうですね(^O^)
Posted by いごっそう612 at 2017年02月19日 20:16
>ともちんさん

ありがとうございます(^^)ジェイミー・フォックス上手かったです。アカデミ賞のスピーチも感動的でした・・・・・一見の価値はありますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2017年02月19日 20:31
>いごっそう612さん
ありがとうございます(^^)やはり黒人の人生を描くのに人権問題は避けられないはずなのに、ハリウッドメジャーが描くと、その点がキレイさっぱり漂白されてしまって、怒りすら感じてしまうんです・・・・・スミマセンm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2017年02月19日 20:34
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