2017年04月02日

『何がジェーンに起こったか?』ネタバレ・ラスト・結末/2大女優の壮絶バトル

『何がジェーンに起こったか?』(ネタバレ・結末・ラスト 編)


製作国 アメリカ
製作年1962/上映時間134分
原題 What ever happened to Baby Jane
監督 ロバート・アルドリッチ
脚色 ルーカス・ヘラー
原作 ヘンリー・ファレル
制作費 $980,000
全世界収益 $9,000,000(レンタル$4,050,000 全米)


評価:★★★★  4.0点

サイレント時代からの2大スターが、年老いてなお女優魂を賭けて、激突、対決した、このドラマは迫真のリアリティーを持って観る者を慄かせます。
現実の二人の間にも根深い感情的な確執があり、そんなハリウッド女優の精神的な病理が、そのままドラマになったような一本です。
この映画の「Duel=一対一の決闘」を描きえたのは、『飛べ!フェニックス』(66)『北国の帝王』(73)『カリフォルニア・ドールス』(81)に共通する、人生における執着を描いて卓越した手腕を持つロバート・アルドリッチ監督なればこそと思います。

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以降の文章には

『何がジェーンに起こったか?』ネタバレ

を含みますので、ご注意下さい。
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家政婦エルバイラは、ブランチの部屋に鍵がかかり、呼びかけても返答がないブランチに不安を覚え、扉を蝶番から外そうとした。
そこに、ジェーンが戻り口論となる。

【大意】ジェーンは「クビにしたのになぜいるのか、鍵がないといったではないか」と問い詰める。エルバイラは「そんなことより、ブランチになにをしたのか、鍵がかかっていて火事でも起きたらどうするのかと反論し、鍵を持ってこないならば、今すぐ警察に電話する」と脅し、ジェーンから鍵を手に入れた。そして、ベッドに縛り付けられたブランチを発見する。

エルバイラはブランチの縛られた姿に驚き助けようとしたとき、後ろからジェーンが襲い掛かりエルバイラを殺害した。

その日ジェーンは飲み続け、夜約束のあったピアニストのエドウィンに居留守を使い、彼は怒って帰っていった。
その翌日、警察からエルバイラ捜索の問い合わせがあり、ジェーンはますます混乱し、幼児のようになってブランチの部屋に行き泣きついた。
jane-doll.jpgそこにピアニストのエドウィンが訪問し、金を払えと迫まった。ジェーンはエドウィンに酒を飲ませ、懐柔しようと務めた。
ピアニストは酔いが回りベビージェーンの人形でふざけていると、ブランチの部屋で倒れた家具の音を聞き、ブランチの部屋に駆け上がる。

ブランチを発見したピアニストは、「死にかけている」と呟くと、ジェーンの制止を振り切り、街へと走って行った。

ジェーンはブランチを連れ、車で朝方の海岸に逃げた。
無心に砂遊びをするジェーンの横で、衰弱しきって死を目前にしたブランチが横たわる。
ブランチは残る力を振り絞ってジェーンに、事故の夜に起きたことを話した。
事件の真相

ブランチ:助けて…誰か…医者を/ジェーン:できない/ブランチ:私が死んだら、あなたは一人よ…/ジェーン:でも、みんな意地悪するの。/ブランチ:彼らは親切だった。/ジェーン:聞きたくない。/ブランチ:ジェーン、私は死ぬ。もうすぐ。聞かなきゃだめ。私はあなたの…人生を台無しにしたの…あなたは、私を不具者したと思ってるでしょ。/ジェーン:止めて。聞きたくない。/ブランチ:あなたは何もしてない。自分でやったの。分かる?自分で不具にしたの。あの晩…あなたは運転していなかった。運転してなかったの。酔いすぎていて。とても運転させられなかった。私はあなたに門を開けさせた。私はあなたが車を降りるのを見ていた。あなたはパーティーで私に冷酷なことをしたの。私のマネをして…私をみんなの笑いものにした。私はあなたが車を降りるのを見て、それで……轢いてやろうと思った…潰してやろうって。あなたは車に気づいてよけた。私は門にぶつかって、背骨を折った。/ジェーン:じゃあ、あなたが言ってるのは…私たちはずっと友達でいられたってこと?

ブランチが語ったのは、ジェーンを殺そうとして我が身を傷つけたという真実でした。
更にブランチは言います。
did.gif
ジェーンは恐くなって逃げ、ブランチは車の外に出て門近づいたと。その事故はジェーンが犯人だと世間が思い込み、ジェーンは酔って分からなくなっていたと。

そしてブランチは死を目前にして言います。
あなたは、美しかった、そして、あなたはその事故の時から醜くなっていった。
私があなたをそうさせたのだと。

それを聞いたジェーンの顔に、少女のような無垢の笑みが浮かび、「アイスクリーム買ってあげる」と言い、ジェーンはアイスクリームを売店に買いに行きます。
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『何がジェーンに起こったか?』ラストシーン・結末

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警官:ハドソンさん。探しましたよ、すみませんがお姉さんはどこです?お姉さんも海岸に/ジェーン:そうよ。だめよこれはブランチの。姉は映画スターになるの。/警官:知ってます。お姉さんのところに案内して下さい。彼女は困っていて助けが必要かも知れない。お姉さんはどこです。(騒ぎに人が集まり、その中でベイビージェーンは踊るのだった・・・・)


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『何がジェーンに起こったか?』結末の感想

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このラストは本当に切ないと感じた。人が人に向ける情念こそが地獄なのだと、骨の髄まで思い知る。
Jane Crawford-Davis.jpg
結局、この世で起こる事件事故が、ほぼ人為的な原因で起きていることを思えば、人間自身が地獄を内包した存在なのだろう。

しかし同時に、天使のように見えた姉が、やはり妹に対する罪を隠していたように、人という生物が生きるということは執着なしには成し得ないのではないか。

憎しみも怒りも嫉妬も嫉みも、自らの望みが満たされない所から発するとすれば、その根本には自分が求める対象への満たされない気持ちがあるはずだ。

つまりは根底には「求める気持ち=愛」があリ、それが満たされないからこそ狂おしい欲望に身を焦がすのだ。
そして、人は愛に満たされない時、その身も心も「化粧=よそおう」事で自らの望む愛を獲得しようとする。

jane-casuto-a.jpgこの映画のジェーンがそうだ。
彼女は、幼少期のベビージェーン時代に全て満たされていた。
しかし、その後は失い続け失った分だけ「化粧=よそおう」ことが必要になったのだ。
そして追い詰められた彼女は、ベビー・ジェーンに回帰するしかなくなる。


そしてまた、この映画のブランチがそうだ。
彼女は、幼少期にベビージェーンによって屈辱を味あわされた。
それゆえ「化粧=よそおう」事で成功を手に入れた。
しかし、ベビージェーンに対する屈辱は熾火のように心にくすぶリ、火を吹き、車のアクセルを踏ませたのだ。


jane-yokonaga.jpg結局、この二人の人生を象徴したのは冒頭のアイスクリームのシーンだったろう。
アイスクリームをベビー・ジェーンが買ってと駄々をこね、ブランチにも買ってあげて言う。
それに対してブランチは屈辱にまみれ、いらないと拒否する。

このシーンとはそのまま「アイスムリーム=欲望の対象=愛」を、競争相手から恵まれることへの矛盾を表現したものである。
それは、三角関係にあるとき恋敵が完全に恋人を勝ち取っていながら、譲るのに等しい行為だったろう。

しかし冷静に、考えてみれば「欲望の対象」が手に入りさえすれば、誰からでも構わないはずだ。

それでも、ライバルから与えられた時、屈辱にまみれるのである。
この目的が満たされ本来満足すべき状況でありながら、不満足を感じる心理こそ「嫉妬」と呼ぶべきだろう。

それは本来「欲望の対象」が得られないことが、人の不満や鬱屈を作り出しているのもかかわらず、その競争相手がいるから「欲望の対象」が手に入らないと、人は自らの力不足を転嫁して考える。
そして、それが日常的に常態化すれば、「欲望の対象」が得られない不満や鬱屈が凝り固まって、競争相手に集約されて行く。

そうなれば、その負の感情は、仮に「欲望の対象」が消えうせたとしても、怒りの対象、不満の象徴として競争相手に憑依し、永遠に続く敵意へと変化するだろう。
ここまでくれば、相手を食い殺しでもしない限り解消され得ない、負の感情に責め苛まれ続けるはずだ。

jane-babi.gif
つまりこの映画の原題「What ever happened to Baby Jane=何がベビー・ジェーンに起こったか」の起こったこととは、この「ベビージェーン=幼女」の「欲望充足」の姿から始まって、長じて「欲望の不充足」の憤懣苦痛を競争者に転嫁し、恨み、憎み、嫉み、怒り、妬み、そして苦しむ人生だったのである。


しかし、そんな「嫉妬」がブランチにも同様に生じていた事を知ったジェーンは、お互いが合わせ鏡のような存在で、同じ感情を抱いてきたのだと知る。

それは生物が生きる上での生存競争がある以上、地球上の全生命に等しく働く感情でもあったろう。
結局、人は「欲望の不充足」を抱えつつ苦しむ存在だとこの映画は語っている。

しかしまた同時に、その「欲望の不充足=嫉妬」を超克する道も示してはいないだろうか。

jane-friend.gif
それはジェーンの言う、「私たちは友達になれた」という言葉に集約されていただろう。

それは、全ての命が「欲望の不充足」を等しく持つということを意味したはずだ。
それゆえ「アイスクリーム=欲望の対象=愛」を「友=自分」のために分け与えるのである・・・・・・・

このとき初めて、ジェーンはもう憎しみを「化粧=よそおう」必要が無くなりイノセントな笑顔を見せれたのである。

つまりは、「汝、隣人を愛せよ」ということだろう。

そういう意味で、この映画が示したドラマは「嫉妬からの救済」を描いて高い完成度を持っていると思う。
しかし、この主演女優2人はこのドラマから何も学びえなかったという点で、現実が映画世界をスポイルした悪例と言わざるを得ない。

それゆえ、この女優2人のビッチさゆえに★一つを減じた。



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posted by ヒラヒ・S at 17:06| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは( ̄▽ ̄;)エルバイラさんがかわいそうです。顔が怖い💦人間のドロドロした部分が惜しみなく描かれてますね(笑)下手なホラーより怖いです。
Posted by ともちん at 2017年04月02日 18:04
>ともちんさん
>
ありがとうございます(^^)ドキュメンタリーの迫力かと・・・・・下手なホラーより怖いですね〜確かに(((((((・・;)
Posted by ヒラヒ・S at 2017年04月02日 19:00
確かに顔が怖いですね(^^;
特殊メイクしてるかの顔ですね(笑)
Posted by いごっそう612 at 2017年04月02日 20:35
>いごっそう612さん
ありがとうございます(^^)
確かに、老けメイクをあえてしていたという話です(笑)
Posted by ヒラヒ・S at 2017年04月02日 20:52
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