2016年01月12日

デビッド・ボウイ「ヒーローズ」


ヒーロー”デビッド・ボウイ”




評価:★★★★★  5.0点

2017年1月10日
デヴィッド・ボウイの訃報を聞いた。

美しい人が、この地を去ったのだと、そう感じた。
もう、動いている、息をしている、鼓動を打つ、生命体としての彼はいない。

彼こそはアーティストと呼ばれるべき存在だった。
同時に世界一のペテン師だった。
カメレオンのように姿とスタイルを変えながら、時に超然と、時に下卑て、大笑いしたかと思えば怒りだし、悲しんだかと思えば、踊りだす。
そんなピエロのような男のクセに、いつもエレガントでセクシーだった。
だから私は、眼を逸らせなかった。


いや、私は嘘をついた。

実を言えば「ブラックタイ・ホワイトノイズ」を聞いたとき、私の心はボウイを喪った。
それまでの作品にあった、カリスマ性を感じられなかったからだ・・・・・・・
私の中の「輝くピエロ」。
一挙手一投足から眼を離す事のできない、「特別なカリスマ」の歌声として、その声は響かなかった。
私にとって、そのアルバムを境に、ボウイがボウイであることを止めてしまった。
今でも、「ブラックタイ・ホワイトノイズ」は、彼のキャリアの分岐点だと思っている。
それ以降の「アウトサイド」「アースリング」「アワーズ…」「ヒーザン」「リアリティ」「ザ・ネクスト・デイ」・・・・・・

作品として好きなCDはある。
しかしこれらの楽曲は、どこか、くすんだような鈍い光を放っているように感じられた。
それは、人間として等身大のボウイに近い、作品群だったかもしれない。
しかし、私が求めたのは「輝けるボウイ」であり、「カリスマ・ボウイ」だった。
私にとってこれらの作品の中では、彼は私の望む形で存在してくれていなかった・・・・・・・・・・・・・

もちろんこれは、私の個人的な印象で、古いファンの中では「レッツ・ダンス」で世界的なスターになってから、ボウイではないという声も有る。
更には「スペイス・オディティ」が頂点だと言う者もいる。

たぶん、このカリスマの万華鏡の様な変化に魅せられた者は、その心の数だけ「異なるボウイ」を生み出すのだろう・・・・・

そういう意味では、間違いなく私自身が期待して、待っていた「美しいボウイ」は、2017年1月10日彼の死によって永久に戻る可能性がなくなった。
そんなボウイの死は、間違いなく私の死でも有る。
人は、それが私の一部にすぎないと言うだろう。
しかし、その一部が他の全部よりも大事なこともある。

もう少し時がたったら、「ブラックタイ・ホワイトノイズ」以降の「人間ボウイ」が何を語っていたのか、じっくりと聞くつもりだ。
かつて狂おしく求めた恋人と、時を置いて再会したかの様に、懐かしく思い出を語り合うように。
そうすれば彼が何を語っていたのかが、少しは冷静に理解できるかもしれない。

しかし、今日は、私の中の夢「輝くボウイ」を悼みたい。
だから「英雄夢語り "Heroes"」 を聞くことにする。


関連レビュー「ジギー・スターダスト」:http://hirahi1.seesaa.net/article/422575247.html
関連レビュー「キャット・ピープル」:http://hirahi1.seesaa.net/article/419458346.html

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posted by ヒラヒ・S at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月05日

ゴッデス・イン・ザ・ドアウェイ

ミック・ジャガーの魅力、ストーンズの魔力



評価:★★★★   4.0点

このCDはボーカリスト、ミック・ジャガーの力量と幅の広さを改めて認識させてくれる、魅力的な一枚です。
ミックのソロ・アルバムの中では、あまり評価されてないようにも思いますが、個人的には一番好きだったりします。
ストーンズ風のロックンロールナンバーや、しっとりしたバラード、ラテンの味付けをした曲など、様々の顔を持っている事が解ります。

そして、2001年当時でも生きる伝説だったミックの為に、レニー・クラヴィッツやU2のボノ、ピート・タウンゼントやジョー・ペリーなど豪華なゲストや、最高峰のバックバンドメンバーが、真摯に参加演奏しています。

ミック自体の歌唱法や技術、そして説得力は、ローリング・ストーンズにおいても、このアルバムにおいても、決してブレないのは「さすが」の実力というものでしょう。
という事で、ミック好きならオススメです。


さて・・・・・ここから先はローリング・ストーンズ好きの人間からの、意見ですが・・・・・

このアルバムのミックの歌が、とっても魅力的であることはすでにお伝えした通りですが、ど〜しても比べてしまいます。
ストーンズと。
例えば「エヴリバディ・ゲッティング・ハイ」なんて、まんまストーンズナンバーの売れ線です。
ギターだって、キース・リチャーズのオープンGチューニングを彷彿とさせるリフです。
スゴーくカッコイイ曲で大好きなのですが、これをストーンズで演奏したらと夢想している自分がいます。

一説によれば、ミックがソロ活動を行う際に、ストーンズのメンバーを「何時までたっても上達しない」と言ったとか・・・・・

なるほど、このCDを聞けばミックの言うこともわかるのです。
このアルバムのバックのギター、ドラム、ベース等々、ビシビシに、タイトに切れまくりです。
こんなに正確なキレのいい音に支えられて歌う、ミックもとっても気持ちよさげデス。

でも、やっぱりストーンズの音に比べれば、どこか、何か、大事なものが足りないのです。

ほんとに不思議なモンで・・・・・

その原因のひとつには、ミックが100%コントロールしている点に有るようにも思います。
一連のソロ活動を通じて受ける個人的な印象としては、ミック・ジャガーというヒトは、ホントに仕事に関して真面目で几帳面なのだという事が分かったような気がします。

そして、例えばリズムボックスを使った演奏が無味乾燥に聞こえるように、あまりに整いすぎたものは、人の感情を揺さぶることができないのかもしれないと、思うのです・・・・・

やはり、どんなに大変でも、面倒でも、意見が合わなくても、お互いの全存在をかけて対等の立場でぶつかり合う、キースとミックの音楽観のせめぎ合いが「魔術」を作り上げてきたのだと、このCDを聞いて確認できたように思います。

バンド活動はシンドイけど、やっぱり、「偉大なマジック」を持っているということかと・・・・・

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posted by ヒラヒ・S at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月05日

レッド・ツェッペリンIV

ロック史上最強バンドの重爆撃



評価:★★★★★  5.0点

レッドツェッペリンはカッコイイ。
それは、それは、カッコイイ。
特にこのアルバムは、「天国の階段」が入っていて、ほんと〜にカッコイイ+ リリカルだ。
まだ聞いていない人は、絶対聞かなきゃもったいない。

なんでこんなにカッコイイのか、考えてみた。
ジミーペイジのギターが、リフもメロディーもカッコイイ。
ロバートプラントの声が超音波なみに高音で、カッコイイ。
ベースのジョンポールジョーンズが、実直でカッコイイ。
そして何より、ドラムのジョンボーナムのドラムがチョーカッコイイ。

結局、このバンドはジョンボーナムが全てだと、勝手におもっている。
なぜならロック史上最強のヘビーサウンドドラマーが存在したからこそ、ジミーペイジのギターが好き勝手に音やリズムを変えても、統一感が維持できたし、ローバートプラントの高音ボーカルが輝いたのだ。

ジョンボーナムの変幻自在の重低音ドラムが、ロックの表現を拡大した事は間違いない。

それに、このドラムの、重く、強く、そしてグルーブ感にあふれたリズムがあったからこそ、このバンドの音はロックンロールと言える音にとどまったのだと思う。

確かにジミーペイジのギターは魅力的だが、その後のソロを聞いてみてもプログシブ・ロックめいた技巧が際立ってはいるものの、ツェッペリンの輝きは感じない。

ロバート・プラントにしても、高音域が出なくなってしまったという、悲しい部分を差し引いても、やっパり高音域を支えるためには、重低音とのバランスがホント大事だなと。

ま〜どっちにしても、このバンドに限らず、どのバンドも化学反応のようなモンで、集まったそのメンバーでしか出ない音があって、その音と音の組み合わせがマジックを作るんじゃないのって事だが。

そんな意味では、全てのバンドが奇跡の様なものだが、こんな即興演奏を繰り広げながら音楽的に聴き応えがあって、その上「ロック」になってる音を出せたっていうのは、ホントにすごいと思います。

このバンドの重低音が有ったから、その後のヘビー・メタルが出てこれたっていうか・・・・・・それでも足りないというか。
ヘビーメタルのバンドは、強力なドラムがいないから重低音をギターリフで足しちゃいましたみたいな・・・・・それぐらいこのバンドの音は強烈だ。

またこのバンドが延々繰り広げる即興演奏は、同時代のプログレッシヴ・ロックと同様の演奏系列に在ると思っているが、でも、このドラムのせいで、こんなに聞こえ方が違う。

いずれにしても、ジョンボーナム在籍時のツェッペリンこそ、ロック史上最強バンドとして、我が心の中で君臨しているのだ。


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posted by ヒラヒ・S at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする