2017年04月26日

2017年04月25日






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2017年04月25日

映画『JUNO/ジュノ』16歳の妊娠騒動/感想・解説・意味・受賞歴

『JUNO/ジュノ』感想・解説 編

原題 Juno
製作国 アメリカ
製作年 2007/96分
監督 ジェイソン・ライトマン
脚本 ディアブロ・コディ


評価:★★★☆  3.5点



昔、いろいろな花の種を扱う卸問屋の倉庫で、棚が崩れあらゆる種が混ざったという事故があったそうです。
種が混じれば売り物にならず、その損失額は膨大で、みんな頭を抱えていたところ、ある社員が提案しました。
それは「会社で事故がありました。スミマセン、何が入ってるか分からないけど、買って下さいませんか」という商品を販売しましょうというものでした。
やらないよりましと売り出したところ、その失敗に端を発した商品は、無事完売し新たな商品企画へもつながり、失敗が成功の母になったそうです。
この映画も、望まず妊娠してしまった女子高生が、前向きに失敗に対処することで成長する物語かと思いました・・・・・・


『JUNO/ジュノ』予告動画



『JUNO/ジュノ』キャスト

juno-name2.jpg

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『JUNO/ジュノ』感想

映画の魅力
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この映画は、$7,500,000-の制作費の小品で、上映館も初めはたった7館でした。
しかし口コミで広がって、ティーンの少女達の支持を受けて、上映館も2400館まで拡大し、最終的には$231,411,584-の大ヒットになったのです。
juno-rogo1.gif
その魅力は、16歳の妊娠という重いテーマを、明るくPOPで、前向きなデザインで表現したことだと思います。


そして現代のハイティーンの等身大の感覚で、この問題を語りきったのが大きいだろうと感じました。
この映画は各国の映画賞で高い評価を受けていますが、中でもその脚本は第80回(2008年開催)アカデミー賞を始め多くのウィナーに輝くほど評価されました。

『JUNO/ジュノ』受賞歴

第80回アカデミー賞:脚本賞(ディアブロ・コーディ)
英国アカデミー賞:脚本賞
第79回ナショナル・ボード・オブ・レビュー:ブレークスルー女優賞(エレン・ペイジ)、脚色賞
サテライト賞:作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)
放送映画批評家協会賞:コメディ作品賞、脚本賞
アメリカ脚本家組合賞:脚本賞
第23回インディペンデント・スピリット賞:作品賞、主演女優賞
ゴッサム賞:ブレイクスルー女優賞
MTVムービー・アワード:女優賞
ティーン・チョイス・アワード:主演女優賞(コメディ部門)、ブレイクスルー女優賞、作品賞(コメディ部門)
他多数


脚本家ディアブロ・コーディー/2008年オスカー受賞スピーチ
【意訳】何が起こったの?これは脚本家にくれたもの、私は全ての脚本家に感謝したい。特に感謝したいのが、共にノミネートされた仲間。だって私はあなた達を崇拝して、毎日学んできたから。だから感謝します。アカデミー協会に感謝します。フォックスサーチング(映画会社)のMuddさん、 Mandate、 Dan Dubieckiさんに感謝します。そして我らが驚異的な出演者、超人エレン・ページに感謝します。(以下、名前を挙げて感謝)そして、何よりも、私を私のまま愛してくれる、私の家族に感謝します。


この、ディアブロ・コーディーという若い女性脚本家が描くセリフが、10代女子高生のライブ感のある言葉で出来ている点が評価されたのだと思います。
実はこの脚本家は、元ストリッパーという経歴を持つ、相当イナセなギャルです。そんな雰囲気がオスカーの豹ガラに現れているように感じます。
ともあれ、この映画の脚本は、主演のペイジが「スラングだらけの脚本を読んだ瞬間、ジュノに共感を覚えた」と話しているように、スラングと高校生英語に満ちていて、英語圏ネイティヴでなければ、その斬新さフレッシュな魅力は十分に理解できないのだろうとも想像します。
妊娠したと友達に連絡するシーンでのスラング例
juno-slang.jpg上:It's probably just a food baby, did you have a big lunch?
それって食べ過ぎ(Food Baby)じゃない、でかいランチ食べたでしょ?
中:This is not a food baby, I've taken three pregnancy tests and I am fo' shiz up the spout.
食べ過ぎ(Food Baby)じゃないって、妊娠テスト3回もやったんだから、マジ絶対妊娠だって。
下:How did you even generate enough pee for three pregnancy tests? That's amazing.
どうやって、妊娠テスト3回分もオシッコ出たわけ?ビックリなんだけど。

上の文章だけでも、私の貧しい英語力では下の三つは、まるで分かりませんでした。
Food Baby=アメリカの女子高生は食べ過ぎて丸くなったお腹をFood babyと呼ぶらしい。
Fo'shiz=確実、間違いないという意味らしい。
Up the spout=見込みがない、悪い、害される状態を言うらしい。転じて、妊娠という意味でも使うらしい。


いずれにしても、この映画の持つ魅力は、そんな10代のリアルな等身大の姿で前進する姿を、映画として表現した点にあるだろうと感じました。

juno-poster.jpg冒頭の種の例ではないですが、少なくとも、もう妊娠という主人公にとっての失敗をしてしまった以上、少しでも好転するように努力するというのは、正しい選択だと思うのです。

この映画の主人公は、好奇心からそれほど好きでもない相手ポ−リーとSEXをし、妊娠してしまいます。

その危機状況に対し10代の女子高生が、あふれる生命力で突き進みます。
そして、仮にこの映画の主人公と同じ状況に陥った少女達に、現実的に可能な解決策を一つ提示したことは、賞賛されていいと思います。


少なくとも、出来た命を中絶という形で終わらせなかった事に、個人的には好感を持ちました。
juno-poo.gif様々な意見はあるかとは思いますが、自分で育てられない以上、親になりたくともなれない大人に命を預ける、譲渡するという選択肢も、現実的な解決策として考慮して然るべきべきだろうと感じました。
この映画の主人公は、いい加減でチャランポランだと思いますが、10代は多かれ少なかれ似たようなもので、少なくとも、この映画が圧倒的に支持されたことを考えれば、現代アメリカのティーンに共感を呼ぶキャラクターだったのは間違いありません。

つまりは、誰にも明日、同じ状況が生じるという現実があるからこそ、この映画は支持されたのでしょう。
その結果生じた妊娠を通じて、家族の絆や、友達の大切さ、そして本当に大事なものが何かという結論に達します。
それは、成長と言えるでしょう。

この映画の結末はハッピーエンドと言えるものだと思います。

この映画の J.K.シモンズは優しく理解のある父を演じて説得力があります。
この人は、『セッション』では鬼教官役で凄味を見せたりと、いぶし銀の演技が個人的に大好きです。
大切なものが何か語る父
juno-sunshine.gif
上:良い時も悪い時も、醜くても、可愛いくても、美しくても、正しい相手ならいつだってお前の事を高く評価してくれるさ。

当ブログ関連レビュー:
デイミアン・チャゼル監督作品『セッション』
J.K.シモンズがアカデミー助演賞に輝いた作品
ジャズにかける思いがぶつかり合う


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『JUNO/ジュノ』感想

アメリカの養子制度
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日本では違和感があるかもしれませんが、この映画でも語られているように、養子制度はアメリカでは一般的なようです。
養子縁組
アメリカ合衆国では、年間12万件を超える養子縁組が成立しているとされる。その中心的な担い手となるのは、民間団体と里親制度(Foster Care)下にある子を対象にあっせんする公的機関で、この2タイプが養子縁組の全体件数のおよそ3分の2を占める。養子縁組に関する認知度も9割近くととても高く、アメリカ人の約3人に1人が養子縁組を考えたことがあるとアンケート調査に回答している。このような社会的な関心の高さを背景に、政府により養親に対する支援が行われている。
養子の養育費を税控除という形で補助する仕組みがあり、2012年度は一世帯あたり最大12650ドルの控除が可能となっている。 アメリカでは1990年代に、ネグレクト(育児放棄)や児童虐待が深刻化したことを背景に、クリントン政権下で「養子縁組と安全な家族法」が成立し、養子縁組を増やすため、国を挙げての取り組みが行われた(wikipediaより)


上のように、アメリカや欧米諸国では社会福祉の一環として養子縁組が盛んです。
juno-tom-yousi.jpgたとえばハリウッドスターの夫婦は必ずと言っていいほど、養子を取っていますが、それは社会貢献のアピールという側面もあるようです。
ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの元夫婦は、6人いる子どもの内、3人が養子。
トム・クルーズとニコール・キッドマンの元夫婦には、養子が2人いて今はトムと共に暮らしているようです。

アメリカでは、悲惨な状況にある子供たちを救おうという努力がなされていて、年間12万組の養子縁組が行われているそうで、要保護児童の80%近くが里親や養子縁組などの制度で、新たな「家庭」を得ているということです。
逆に言えば、アメリカにおける児童虐待などの問題がそれほど深刻だという事の裏返しでもあるでしょう。

Film-USA-flag.png
その里親の形も、この映画で語られているようにさまざまです。

基本的には実母(映画のジュノ)が里親候補者の中から気に入った相手を選びます。
そして、子供の成長や交流を、実母も養母も共有する「オープンアダプション(開かれた養子縁組)」と、実母には子供の情報を知らせない「クローズダプション(閉ざされた養子縁組)」を選ぶそうです。

ジュノは映画の中で、最近主流の「オープンアダプション(開かれた養子縁組)」は嫌だと言い、古いタイプの「クローズダプション(閉ざされた養子縁組)」を選んでいます。
これは、子供を産んだ後は関わりたくないという、ジュノの意思が尊重されたと結果だと言えます。

このアメリカの養子縁組制度は、アメリカの子供たちの状況から導きだされた制度であり、公共意識ゆえの結果だとも思います。
juno-photo.jpg
しかし日本においては、乳児院や児童養護施設などで生活する子どもが全国に約3万3千人いて、里親など家庭環境で養育される子どもは5000人弱だそうです。

まだまだ日本では里親制度は浸透しておらず、ほとんどの子どもたちが、全国の児童養護施設で過ごしているのが現状だそうです。
したがって日本では、ジュノのように10代で妊娠し育てられないというときには、中絶に走ったり、酷い時はトイレに産み落として放置するような事態になるのではないでしょうか。


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『JUNO/ジュノ』感想

ささやかな、でも重大な心配
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実はこの映画の完成度は、★4つはある作品だと個人的には思うのですが、どうも気になる点があって、中途半端な3.5という評価にしました。

juno-poster2.jpg
その★-0.5分の要因とは、やはりこの失敗を犯さないように釘を刺してほしいという思いからです。

単純に避妊をすれば済む話ですし、必要なことをしなかったというペナルティーを書くことが、やはり悲劇を減らすために必要だと思うのです。
また、この映画では全てがメデタシメデタシになっていますが、望まれずに生まれた子供に対する、憐憫や謝罪がもっとあっても良いのではないかと感じます。

きっと、そんな子供たちが持つ悲劇の描写がもう少しあれば、現実における抑止力になるのではないかと思うのです。

もっともアメリカの10代にとっては、避妊や中絶、望まれない命の事は、周りで頻々とおこる実例や、学校教育で十分判っていることなので敢えて触れないということかもしれませんが・・・・・・・・・
F-japan.jpg
だから、これは日本に住んでいる人間の、この状況に対する非日常感ゆえに出た「こうなる前にちゃんと考えろと、映画は言ってほしいという」感慨かもしれません。

またそんな、日米の違いという点も考えると、この映画のジュノは自分で考え解決策を見出し、それを親は承認する形になっています。
これは個人主義の発達した欧米流の思考法で、子供といえども独立した人間としてその判断を尊重するという考え方だろうと思います。

しかし日本は家を中心に社会制度が構築されているので、他人を家族に迎えるという点に違和感を持ちます。
その結果としてジュノが産んだような望まれない子は、圧倒的に社会の一般家族の構成員に比べ、日本では公的にも私的にも不利になるだろうと思わざるを得ません。
さらに子を宿した方も、日本でこの事態が起こればたぶん学校は退学になるでしょうし、出産後は人生は元通りのハッピーエンドとは成りえないことを考えると、やはりハッピーなだけではない痛みや苦みも描いてほしかったという事でした。

これを見て、特に日本のティーンが、妊娠なんて大した問題じゃないと考えちゃうと困るという大人の意見です。

関連レビュー:アメリカの養子縁組を扱った映画
『愛する人』
2009年のロドリゴ・ガルシア監督作品
新しく生まれた命を巡る女たちの思い



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2017年04月24日








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