2017年07月13日

『レヴェナント:蘇えりし者』ディカプリオ・オスカーへの道/ディカプリオとアカデミー賞

『レヴェナント:蘇えりし者』(解説・オスカー編)



原題 THE REVENANT
製作国 アメリカ
製作年 2015
上映時間 157分
監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ
脚本 マーク・L・スミス、
   アレハンドロ・G・イニャリトゥ
撮影監督 エマニュエル・ルベツキ
音楽 坂本龍一

評価:★★★★  4.0点



この映画は、アメリカの伝説上の人物ヒュー・グラスをモデルに描いた、レオナルド・ディカプリオのアカデミー賞受賞作です。
この映画の持つ迫力は、映画のドラマとしての強さ以上に、ディカプリオの壮絶なオスカーへの執念が演技に乗り移っているように思います。
これは壮絶なドキュメンタリー記録映画ではないでしょうか。
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『レヴェナント:蘇えりし者』予告


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『レヴェナント:蘇えりし者』出演者

ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)/ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)/アンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)/ジム・ブリッジャー(ウィル・ポールター)/ホーク(フォレスト・グッドラック)/アンダーソン(ポール・アンダーソン)/マーフィー(クリストッフェル・ヨーネル)/ポワカ(メラウ・ナケコ)/ヒュー・グラスの妻(グレイス・ドーヴ)
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『レヴェナント:蘇えりし者』解説

レオナルド・ディカプリオ:オスカーへの道



ディカプリオは1993年の『ギルバート・グレイプ』で、アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされています。
若干19歳のこの時に、すんなりウィナーになっていれば、ここまでコジれることも無かったと思うのですが・・・・・・・・・・
関連レビュー:若き日のディカプリオ
『ギルバート・グレープ』
自己犠牲を問う映画
ジョニー・ディップ主演映画

この後の彼は、アイドル路線で『ロミオ+ジュリエット』なんて二枚目路線をひた走っていました。
しかし、そんな中でもディカプリオにとっての代表作『タイタニック』で、ショックな事件が起こります。

『タイタニック』の沈没



1997年の『タイタニック』は世界中で大ヒットし、作品賞・監督賞・主演女優賞を含むアカデミー賞の14部門、史上最多ノミネート(アカデミー史上『イブの総て』と並び一位タイ)されたにも関わらず―――
何と!
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ディカプリオは主演男優賞にノミネートすらされなかったのです。

このときには、ディカプリオは、通常作品賞ノミネートされれば、出演者も参加するのが普通なのですが、アカデミー賞授賞式に参加しませんでした。
本人が怒って参加しなかったとも、母親に「こんなに馬鹿にされて出ちゃだめ」と止められたとも言いますが・・・・・・・
その後「思い上がっていた」と反省の弁を、どんな理由にせよ述べてます。
更には『タイタニック』の翌年1998年『仮面の男』では、ワースト映画の祭典ラムジー賞の主演男優賞を獲得するという屈辱を受けます。

『ギャング・オブ・ニューヨーク』の屈辱



そんなこんなで、デイカプリオが本気でオスカーに勝負を賭けに行ったと思われるのが、2003年巨匠マーティン・スコセッシ監督と初コンビを組んだ『ギャング・オブ・ニューヨーク』です。
関連レビュー:ディカプリオ主演
『ギャング・オブ・ニューヨーク』
ニューヨーク市民の起源
マーティン・スコセッシ監督

この映画もアカデミー作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞・撮影賞・編集賞・美術賞・衣装デザイン賞・歌曲賞・録音賞の10部門にノミネートされるほど、評価の高い作品でした。
しかし、ディカプリオにとってショックだったのは、本来の主演はレオナルド・ディカプリオのはずなのに、主演男優賞にノミネートされたのがダニエル・デイ=ルイスだったという・・・・・・・・・
ダニエル・デイ=ルイスは『マイ・レフトフット』で、すでに主演男優賞を獲得しているのだからよさそうなものですが・・・・・・・・・
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実は、各部門のノミネート対象者は、映画の製作スタジオの推薦によるといいます。
『ギャング・オブ・ニューヨーク』ならばミラマックスのお偉方が、主演男優賞はダニエル・デイ=ルイスで行くというように決めるらしいのです。
実を言えば、このオスカーを獲るか否かが映画の収益に大きく影響するので、決して遊びや冗談ではなく、ましてや情実でデカプリオになんて甘い感傷が入る余地はなく、獲得する可能性が高い方を選ぶという冷徹な打算の産物なのです。

ディカプリオの心中察してあまりありますが・・・・・幸か不幸か、この映画は1つもウィナー(受賞)には輝きませんでした。

『アビエイター』以後



2005年の『アビエイター』で、再びスコセッシ監督と組んだ作品で、大富豪ハワード・ヒューズを演じ、主演男優賞に初ノミネートします。
結果的には、レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックス『Ray レイ』に栄冠をさらわれましたが、一歩前進は間違いないでしょう。
関連レビュー:ブルースの伝説
『Ray レイ』
盲目の天才歌手の伝記
ジェイミー・フォックスのオスカー受賞作

次にノミネートされたのは2007『ブラッド・ダイヤモンド』で違法ダイヤモンド密売人を演じ再び主演男優賞にノミネートされますが、受賞に至らず。
仮に『ブラッド・ダイヤモンド』じゃなくて、スコセッシ監督の同年の『ディパーテッド』にも出演していたので、コチラは作品賞、監督賞、脚色賞、に輝く高い評価の作品でしたから・・・・
もし、こちらで主演男優賞を競っていたらとも思いますが、やっぱり出演者の豪華な顔ぶれに『ギャング・オブ・ニューヨーク』の二の舞を恐れたのかとも思います・・・・・・・・・
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ディカプリオの迷走



その後も、健気にオスカー挑んでいくディカプリオ。
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もはや、役の選択や監督選びもオスカーに焦点を当てたことが傍目にも分かるようになります。

そもそも『アビエイター』のハワード・ヒューズも、アカデミー賞獲得のためには、実在の人物で病気持ちなら獲りやすいというので選んだと言われていますが、それでも栄冠には至らず。
じゃ〜、さらにヒートアップさせクリント・イーストウッド監督と組んだ『Jエドガー』のFBI長官のエドガー・フーヴァーを演じ、この人はゲイで性同一性障害に女装趣味、さらに権力亡者という、コレデモカのてんこ盛りにも関わらず、結果はやはり残念。

ついには開き直って、タランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』では差別主義者のゲスを演じ、どうだとばかりに悪人を演じますが獲得に至らず。
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それでもダメならとばかり、再びマーティン・スコセッシ監督とタッグを組み『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で成金、ゲス、ドラッグ中毒、挙句の果てにオカマまで掘られてもダメ・・・・

ここまで迷走を続ければ、もはや自分でもどうすべきか分からなくなっているんじゃないでしょうか・・・・・・

そして今作、なりふり構わず、アカデミー賞監督、アカデミー賞カメラマンを揃えて、万全の体制で「アメリカの魂」をコレデモカとばかりに次から次にスタントなしのガチンコ撮影。
トラブル続きの命すら危ぶまれる、狂気のごときディカプリオ。
映画自体も自分の一人芝居で、この映画の評価がイコール自分の評価となるよう、周到に計算されてオスカー対策は万全。
ホントに、もはや、やれることはやりつくし、この映画の、一人芝居の生きるか死ぬかの命がけのギリギリの芝居でダメだったらと思えば、命すら断ちかねないんじゃないかと・・・・・・・・・・・・・。
これはもう芝居じゃなくて、「ディカプリオ:オスカーへの道」というドキュメンタリーです。
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そう考えればデカプリオ自身が、ヒュー・グラスのような執念の人なのでしょう・・・・・
このディカプリオの執念が乗り移った表情は、間違い無く一見の価値があります。

だって、ベジタリアンなのに生の肝臓にかぶりつくんだぜ・・・・・・
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『レヴェナント:蘇えりし者』評価



本当に、心の底から、その役者魂と、オスカーに対する執念には満点を上げますが、ディカプリオの一人芝居を前に出しすぎたために、映画的なドラマとしての力が削がれたと、やはり私は感じてしまいました。
それゆえ、映画の評価としては★3.5です。

しかし、この映画をディカプリオの「ドキュメンタリー映画=オスカーへの道」として見たとき、間違いなく傑作だと申し上げましょう。

それゆえ、私は映画表現としては★3.5にプラスして、デカプリオの執念★0.5で、合計★4.0と評価させていただきました…。

何にせよ、おめでとう!ミスター・ディカプリオ!!
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下のリンクで紹介させて頂いた、ディカプリオのスピーチも力の入った、思いのこもったものです。
関連レビュー:ディカプリオ・オスカー受賞スピーチ
2016年開催・第88回 アカデミー賞
授賞式紹介・スピーチ和訳
全受賞・ノミネート作品紹介
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2017年07月09日

『レヴェナント:蘇えりし者』開拓者ヒュー・グラス詳しい歴史/感想・解説・実話モデル

『レヴェナント:蘇えりし者』(感想・実話モデル 編)



原題 THE REVENANT
製作国 アメリカ
製作年 2015
上映時間 157分
監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ
脚本 マーク・L・スミス、
   アレハンドロ・G・イニャリトゥ
撮影監督 エマニュエル・ルベツキ
音楽 坂本龍一

評価:★★★★  4.0点



この映画は、アメリカの伝説上の人物ヒュー・グラスをモデルに描いた、レオナルド・ディカプリオのアカデミー賞受賞作です。
この映画の持つ迫力は、映画のドラマとしての強さ以上に、ディカプリオの壮絶な執念が演技に乗り移っているように思います。
ここでは、この映画の語るメッセージと、実在モデルのヒュー・グラスの史実を描かせていただきました。
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『レヴェナント:蘇えりし者』予告

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『レヴェナント:蘇えりし者』出演者

ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)/ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)/アンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)/ジム・ブリッジャー(ウィル・ポールター)/ホーク(フォレスト・グッドラック)/アンダーソン(ポール・アンダーソン)/マーフィー(クリストッフェル・ヨーネル)/ポワカ(メラウ・ナケコ)/ヒュー・グラスの妻(グレイス・ドーヴ)
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『レヴェナント:蘇えりし者』感想



レヴェナントとは、フランス語のRevenir(ルヴニール:戻る)の名詞形REVENANT(ルヴナン:戻る者)から派生し、英語的語彙としてはネィテイヴでも聞きなれない言葉だと言います。
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しかし、英語のREVENANTには「死からよみがえった者」転じて「幽霊」という意味があり、それはこの映画の本質を言い表しているように思います。

この映画で描かれた、峻厳で広大な不毛の大地を見るとき、自然の中でかじりつき、へばりつき、人々がようやく命を維持してきたのだと教えられます。
幾千もの人々が、この過酷な自然に打ち負かされ、アメリカの大地に朽ちていったはずです。

その先人達の犠牲を乗り越えて、今のアメリカの開拓があったのだという事実こそ、この映画の陰鬱な自然の示すものだったのでしょう。
しかし同時にこの映画を見ているうちに、人がこの自然から生きることを許されるためには、自然に対し敬虔になり、人間としての思い上がりや、傲慢さを捨て去ることで自然が受け入れてくれるのではないかと思えてきました。

そんな概念は「原始宗教=アニミズム」に通じるものであり、森羅万象に神を見出すことの重要性が語られているように思います。
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そんなアミニズムの考えは、生死が明瞭な、
更に過酷な不毛の自然、砂漠で生まれた一神教「キリスト教・イスラム教」とは違う世界観だと感じます。

砂漠で生を得るには、人智で不可能を可能にする、知性や能力、そして強い意志が必要不可欠でしょう。
それは必然的に、貧弱な自然を人工的に住める世界に改変する、人間が主体となった世界の再構築だったように思います。
しかし、もう少し豊かで変化にとんだ自然を持つ地域では、自然に対して従順であり素直であれば、生きることを許してくれる懐の深さがあります。
そんな「アニミズム」を生きた者達こそ、アメリカ先住民=インディアンだったのです。

そして、アメリカ先住民が共生してきた「アメリカ大陸の自然」を破壊したものこそ、キリスト教文明の法則に則った、人智による自然世界の改変の意思にあったのだと思います。
教会の夢のシーン
このシーンは、死んだ息子と再会する夢のシーンです。
壊れた教会はキリスト教世界の不完全さを表し、そこに悲しげに立つ息子ホークは、そんな西洋文明に殺された犠牲者だというメッセージに思えます。

reve-pos3.jpg
もう一度言いますが、そんなキリスト教的な人工的な世界を生んだ砂漠に対し、この映画の自然は負けず劣らず過酷で悲惨な環境だと見えるかもしれません。

しかし、この映画の自然を見る内に、その木々の揺らぎや、川の流れ、大地に沈む太陽の中に、明らかな生命の輝きや美しさを感じるはずです。
その雪に閉ざされた酷寒の大地に、間違いなく命が豊穣に息づいていることに気付くはずです。

そんな自然の持つ生命力の中で、主人公がキリスト教的な西洋文明の行動原理から、自然による洗礼を経て、インディアン的なアニミズムを身にまとって復活したことの象徴だと思えます。
そして、主人公と共に映画を進む観客にも、いつしかは自然とは奪いもするが与えもするのだという「アニミズム的」感性が生じるのではないでしょうか。

つまり主人公は、白人移植者としてのキリスト教的世界から殺され、霊魂となってアニミズム的な命を携え復活したからこそ、この映画の題名は『レヴェナント=死から蘇った幽霊』なのだと感じました。
rev-born.jpgこの主人公はアメリカ大陸の自然を乗り移らせた、ゴーストとして西洋キリスト教文明に復讐する姿だと思えてなりません。
(右:映画内で描かれる乱獲されたアメリカバイソンの骨)
白人が移入する以前のアメリカバイソンの生息数は約60,000,000頭だったものが、1890年には1,000頭未満まで激減したとのことです。
またアメリカ先住民=インディアンも、ヨーロッパ人が1492年に上陸する前、約5千万人いたという説がありますが、今アメリカ国内でのインディアン人口は約228万(1996年の推計)に減少しています。世界的に人口が増加する中で、95%もの減少率に慄然とします。

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『レヴェナント:蘇えりし者』解説

ヒュー・グラス実話



デカプリオ演じるヒュー・グラスは実在したヒュー・グラスとは本質的に異なる点があるように思います。
reve-real.jpgヒュー・グラス(Hugh Glass、1780年頃 – 1833年)はアメリカ西部開拓時代のフロンティアの罠猟師で毛皮商、探検家。
ペンシルベニア州のスコットランド系移民の家庭に生まれ、ミズーリ川沿いに現在のモンタナ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州およびネブラスカ州のプラット川にわたる地域を探検した。
ハイイログマに襲われて重症を負い旅の仲間に見捨てられながらも生還した話は長い年月にわたり語り継がれ、『Man in the Wilderness』(1971年) および『レヴェナント: 蘇えりし者』 (2015年) として映画化されている。(wikipediaより)


この人の伝説はアメリカの『トールストーリー(ほら話)』の色を帯びて、話が大きくなっている部分が有るのは間違いないでしょう。
関連レビュー:アメリカン・トール・テール解説
『フォレスト・ガンプ』
大らかなホラ話の映画
トム・ハンクスのアメリカ現代史


特にクマに襲われる前には、眉唾の話が多くなります。
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メキシコ湾の海賊船長ジャン・ラフィットに捕えられ、海賊になったという話があります。(右:ジャン・ラフィット)

2年の間海賊を強要され、その船から泳いでテキサス州ガルベストンに逃げたとか、その後はアメリカ先住民ポウニー部族に捕らえられ、数年間住み、そこでポウニーの女性と結婚したとか伝えられています。
先住民と暮らしていた話は1821年にミズーリ州セントルイスで開かれたアメリカ合衆国当局との会合に、グラスがポウニー族代表団と同行したといいますから事実とも思えます。
この点は映画の先住民を妻としているという描写につながっているかもしれません。

以下映画で描かれた時代に入って行きます。

1822年、ウィリアム・ヘイリー・アシュレー将軍が「毛皮貿易を目指しミズーリ川を船でさかのぼる探検隊の100名公募」をし、それに応じた一人のがヒュー・グラスです。
(ただし、息子を伴ってはおらず、この部分は映画の創作です。)
rev Bison skulls 1870.jpg
この隊はジョン・S・フィッツジェラルド(映画の敵役フィッツジェラルドのモデル)、それにジェフ・ブリッジス(映画でフィッツジェラルドと共にグラスを置き去りにする若者ブリッジャーのモデルと思われている)などを含む「アシュレー百人隊」と呼ばれることになります。

当時毛皮取引は大きな利益を産む成長事業だったので、何とアシュレーは3年間で「1億8800万ドル相当の毛皮を集めた」という凄まじさです。
そんな利益を求め白人移植者たちは、先住民との摩擦が生じても乱獲に走ったといいます。(右:狩られたバイソンの骨)

rev-arikara-cheaf.jpg探検隊はアリカラ族の戦士たちに襲撃され(映画冒頭の戦闘シーン:1823年アリカラ戦争)、グラスは足を撃たれています。

ことの発端はアシュリー隊がアリカラ族の村で、火薬と馬を売買した時に、部隊の一人がアリカラ族の女性を口論の末、殺害してしまったからです。(右:)
(映画では冬となっていますが、実際は1823年5月末、つまり春でした。)
ヒュー・グラス移動地図

reve-HughGlass-map.jpg

rev-ariwar.jpgこの戦闘を受け、一度キオワ砦に戻った「アシュレー百人隊」は、アトキンソン砦の米軍兵士240人の隊員と反撃し、更に1823年8月にはラッパー砦と多くのスーインディアンで補強された兵力で、アリカラ族を攻撃しました。
戦闘終結後、アリカラ族の指導者の一人が殺され、和平交渉がなされ、アリカラは村を捨てて去ることになります。
その翌朝、村は米軍により焼き払われました。

この後、アンドリュー・ヘンリーを隊長とする14名の部隊は、イエローストーン川上流に向けに陸路を進みます。
rev HughGlass.jpg
そして、このヘンリー隊に加わったグラスは1823年の8月、パーキンス郡グランド川の支流の近くで獲物を探している時、2頭の子を連れたグリズリーに遭遇し、襲われます。
重傷を負うったものの、幸いにも狩猟隊のメンバーの助けがあり、クマを倒し命は取り留めました。
しかし、2日に渡りグラスを帯同し旅をした隊は、移動ペースが大幅に遅れました。
リーダーのヘンリーは、グラスが息を引き取るのを見届けて埋葬する者をふたり募り、ジョン・S・フィッツジェラルドと後に「ブリッジス」と呼ばれる人物が進み出たといいます。
(映画では「ブリッジス」がJim Bridger:ジム・ブリジャーとなっていますが、このジム・ブリジャーは山岳探検家として有名になる人らしく、実は違う人物ではないかという主張もあります。)
フィッツジェラルドと「ブリッジス」は5日間待ってから、グラスのライフルやナイフ、携帯品を持って去り、隊に追いつくとグラスが死んだと嘘の供述をしました。
後に二人はアリカラ族の攻撃に合い、止むを得ずグラスを置き去りにしたと弁明をしたそうです。
(この弁明は、アリカラ族との敵対関係を考えると、まんざら嘘でもないように感じます。映画にもあるように、見つかれば確実に襲われたはずですから)
rev-walk.jpg
そして、意識を取り戻したグラスは、武器も旅の道具もなく、片足は骨折し、肋骨が見えるほどの深い傷を負いながら、ミズーリ川沿いのキオワ砦まで200マイル(320キロ)を走破します。

グラスは自ら脚の骨を接ぎ、仲間が置いて行ったクマの毛皮で体を覆い、傷の壊疽を避けるため、敢えてウジに腐敗した己の肉を食べさせたといいます。
全行程6週間の間、彼は野生の果実や根、昆虫、死んだ動物の死体など、見つけたものは何でも食べ生き伸びました。
またある時は、バイソンの子供を仕留めた2 頭のオオカミから獲物を奪い、生肉を口にしました。
サンダー・ビュート山を進む方向の目印として歩を進め、9月の終わりには燃え尽きたアリカラの村に辿り着き、そこでトウモロコシを見つけたそうです。

村の滞在中、先住民スー族が彼を発見し、スー族の村に移動し世話され、健康を回復しました。
Film-USA-flag.pngそんなスー族の助けもあり、グラスは筏で川を下り1823年10月8日にキオワ砦に戻ることができました。

キオワ砦についた3日後、先住民マンデリン族との交易の旅に参加しますが、幾日もしないでアリカラ族の襲撃を受け、グラスと他一名だけがマンデリン族の庇護のもと助かりました。

インディアン社会でも、グラスはグリズリーに勝ちアリカラにも殺せない英雄として有名で、11月までマンデリン族は彼を歓待し旅立たせなかったといいます。
ようやく村から出たグラスは、雪の中アリカラの襲撃を警戒しつつ、雪洞に寝て、確かな地図もない状態で、一ヶ月の間深い雪原を歩いて旅しました。

彼は1823年12月の第2週に、ヘンリー隊長とその部隊がいるはずのヘンリー砦に到着しました。
しかし砦はもぬけの殻で、新たな砦はビッグホーン川の上流に移動したとメモが残されていました。
rev-judge.png
グラスは再び旅立ち、12月末に新しいヘンリー砦に到着し、グラスは「ブリッジス」を発見します。
しかしグラスは、映画の通り若い彼を許してやります。

そして、自らはその後アシュレーの狩猟隊に再入隊し、1824年3月27日にはヘンリーによって、彼と他の4人と共にアシュレーのいるセントルイスに派遣されました。
その道中、アリカラ族に襲われ2名が殺害され、グラスも死んだという新聞報道がなされたそうです。

その後グラスは、フィッツジェラルドがネブラスカ州のアトキンソン砦に駐留しているアメリカ陸軍に入隊したことを知ります。
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彼はフィッツジェラルドを追い、1824年6月下旬軍隊を訪ねます。(右:アトキンソン砦)

グラスはアトキンソン砦の隊長に、フィッツジェラルドを殺すつもりだと言います。
対して、隊長ベネット・ライリー大尉は、もし殺すなら「グラスを逮捕し縛り首にする」と通告します。
アメリカ合衆国兵士を殺せば、軍によってグラスも処刑されると伝えたのです。

rev howken.jpgライリー大尉は、グラスが殺害を断念したのを見て、二人を面会させフィッツジェラルドが盗んだホーケンライフルをグラスに返却させます。
そしてグラスはフィッツジェラルドに、軍隊にずっと留まり外に出るなと警告したそうです。
さらに一説によると、グラスはこの時300ドルを受け取ったとも言います。(右:ホーケン・ライフル)

自分を置き去りした2人との面会を果たした後、グラスは罠漁師の生活に戻ります。

しかしまたもや1825年、ロッキー山脈でショショニ族の矢を背中に受け、川を経由し700マイルを移動し命を取り留めます。
そしてとうとう1833年に、イエローストーン川でアリカラ族の待ち伏せを受け、行方不明となります。

その数日後、アリカラ族の者がグラスの体の一部を持っている所を、グラスの友人が目撃しており、グラスは長年の仇敵アリカラ族によって命を絶たれたと考えられているそうです・・・・・・・

いや〜大変ですね〜
1800年代のアメリカは、いつどこで命を落とすかわからない、危険に満ち溢れた野蛮な世界だったという事が良く分かります。
1800年代といえば、フランスではナポレオンが死んだ頃で、日本では享保の改革が進み、イギリスではワットが蒸気機関を発明した頃ですが、そんな世界情勢の中でもアメリカの未開度は、植民地的な混乱を持って際立っているように思います。

Film.jpg
ともかく、以上の歴史的な資料を元にした物語と、映画を較べてみれば、映画が語ろうとしたドラマの本質が見えてくるように思います。

映画が明らかに事実と異なるのは、以下の点です。

ヒュー・グラスに子供はおらず、子供がフィッツジェラルドに殺されてもいない。
(映画ではフィッツジェラルドに子供を殺されている)
クマに襲われたのは8月で、夏だった。
(映画では真冬の酷寒の大地)
スー族に長期に渡り助けられた。
(映画ではほぼ一人で乗り切った)
フィッツジェラルドに復讐していない。
(映画ではフィッツジェラルドと血みどろの戦いを繰り広げる)
これらの差異が生じた理由を考えてみると、全ては「ドラマ=対立構造」を強化する方向に向かっていることが分かります。

しかし、感想で述べた自然と人間との相克、西欧文明と自然破壊のテーマを描くのならば、ここまで過剰に人の憎悪を描く必要はなかったと思います。

結局、この映画の目的はただ一点。

オリジナル物語がどうであろうと、映画としてのテーマがなんであろうと、それらが必要とする以上に、レオナルド・ディカプリオを引き立たせることに主眼があったと感じてしまったのです・・・・・
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この映画の過剰な、痛々しい、悲痛な、過酷な、限界ギリギリの、狂気すらほの見える、ディカプリオの演技は、オスカーに対する狂おしい情念が生み出した、役者の執念の凄味に溢れていると感じました。

ディカプリオとオスカーの物語を下に書かせていただきました。
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posted by ヒラヒ・S at 21:36| Comment(2) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月06日

2016年開催・第88回 アカデミー賞/スピーチ和訳/全受賞・ノミネート作品紹介

2016年開催・第88回 アカデミー賞・授賞式


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2015年の公開映画を対象にした、第88回アカデミー賞は2016年2月28日に、ロサンゼルス市ハリウッドのドルビー・シアターを会場として開催されました。
政治面では過激派イスラム組織ISILによる各地のテロ事件が発生し、中東方面から欧州へ流入した難民問題が国際問題となった。日本でも、9月に安全保障関連法の成立・公布され、海外派兵への道を開きました。
最多受賞は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』であり、6部門を受賞した。『レヴェナント: 蘇えりし者』は最多12部門のノミネートのうち3部門を受賞した。この他に『スポットライト 世紀のスクープ』が作品賞を含む2部門を受賞しました。
またこれに先立ち、2015年11月14日にハリウッド&ハイランドセンターでアカデミー名誉賞をスパイク・リー、ジーナ・ローランズに、-ジーン・ハーショルト友愛賞がデビー・レイノルズにそれぞれ授与されました。

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2016年・第88回アカデミー賞・レッドカーペットシーン

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レッドカーペット

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2016年・第88回アカデミー賞・司会クリス・ロック

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クリス・ロック(Chris Rock、1965年2月7日 - )はアメリカ合衆国サウスカロライナ(アンドリュース)出身のスタンダップ・コメディアン、俳優。脚本家、プロデューサー、映画監督としても活動している。
クリス・ロック米コメディ専門チャンネル“コメディ・セントラル”が選ぶスタンダップ・コメディアンベスト5位。エミー賞3回、グラミー賞を3回受賞している。(wikipediaより)

【クリス・ロック司会風景】
・アカデミー賞はどっちかと言えば白人の賞で、この司会だって白人がノミネートされてたら回ってこなかった。・黒人の候補者がいないのが、過去71回あった。でも黒人は抵抗しない。なぜなら祖母の時代に抵抗したら、木で縛り首になったから。・本当に注意しなければいけないのは、最優秀ドキュメンタリー賞・短編部門で、今年は黒人ロッキーが獲得する。ある人たちは『クリード』って言うけど、俺は『黒人ロッキー』って呼んでる。『ロッキー』は世界中で黒人アスリートが席巻してるのを見れば、SFみたいなもんだ。・黒人ジャンルが必要だとしても、男優、女優はどうだろう。陸上競技じゃないから、男女で分けなくてもいい。・もし黒人が毎年オスカーを獲るなら、黒人ジャンルとして「最高友達賞」が必要だ。・マイノリティー救済計画の新製作者ミス、ステシー・ダッシュ!祝・黒人歴史月間。どうも。・ガールスカウト・クッキーシーズン(2月にはガールスカウトがクッキーを売るらしい)だから、百万長者のみんなのポケットから、私の娘と友達にクッキーを買ってほしい。金よこせ!・(オリジナルソング受賞者のコメント:全てのLGBT団体に捧げる)おめでとう。冗談じゃなく、彼等は僕を困らせてない。・(エンディングで)この夏はBT(バイセクシャル、トランスジェンダー)祭りだ。お休み。最高の経験をした。オスカー受賞者にお祝いを言う。ガールスカウトクッキーを買って、黒人問題を。
※このクリス・ロックの芸風は、典型的な人種ネタで、アメリカではスタンダップ・コメディーの一つのジャンルとして確立しているそうです。

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2016年・第88回アカデミー賞・各賞結果

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2016年・第88回アカデミー賞・助演男優賞スピーチ

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プレゼンターはパトリシア・アークエット。
いずれも独創的で唯一の演技だったと語り、作品内容に触れノミネート者を発表
クリスチャン・ベイル(マネー・ショート華麗なる大逆転)/トム・ハーディ( レヴェナント:蘇えりし者)/マーク・ラファロ(スポットライト 世紀のスクープ)/マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)/シルヴェスター・スタローン(クリード チャンプを継ぐ男)
受賞者はマーク・ライランス
【マーク・ライランス 受賞スピーチ・意訳】
私はずっと、ずっと、いつも憧れていた物語がこれです。聞いて、見て、成りたかったもの。それは、私が思うに、同時代の最高のストリーテーラー、スティーブン・スピルバーグと仕事をする機会がもたらした栄誉だと思います。最近の指導者達と違って、彼はこの映画の全ての創造に巨匠として、愛を注ぎ導いてくれました。全ての創造に。そして多くを占める、トム・ハンクス氏。みなさん・・・・私は私の映画が何度もノミネートされていて大変喜んでおり、映画の顔として私は街で多くの人に会いました。その機会を楽しみましたし、いつも彼等は"何かお手伝い(help)しますか?"と私やスタッフに尋ねてくれました。そして、もしあなたがトム・ハンクスと演技するさい「何か助けて((help)くれるか」と疑問に思ったとしたら、私が思うに、答えは明らかに「はい」です。
私は仲間の候補者に感謝したいと思います。私は、私の演技とあなたがたの出演した栄光ある演技の間に、どのように評価が分かれるのか理解できません。私は、今この時作られている全ての映画の助演男優と、5人の俳優とを、どのように分けているか判りません。これは一人の俳優にとって素晴らしい時間です。私は誇りに思います。ありがとうございました。


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2016年・第88回アカデミー賞・助演女優賞スピーチ

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プレゼンターはJ.K. Simmons
五人は驚くべき洗練された説得力ある個性を見せたと、作品の内容を紹介し、ノミネート者を紹介。
ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)/ルーニー・マーラ(キャロル)/レイチェル・マクアダムス(スポットライト 世紀のスクープ)/アリシア・ヴィカンダー(リリーのすべて)/ケイト・ウィンスレット(スティーブ・ジョブズ)
受賞者はアリシア・ヴィカンダー。
【アリシア・ヴィカンダー 受賞スピーチ・意訳】
うわ〜。この信じられない現実、アカデミー協会に大変感謝します。私はこれを素晴らしいスタッフとキャストと分かち合いたいと思います。そして、私はゲイルとアンとニーナとワーキング・タイトルとフォーカスとトムに感謝したいと思います。どこ?私の監督。私に対する支持と信念に感謝します。そしてエディ、そこのあなた。最高の演技パートナーに感謝します。私はあなたなしには、無理だった。あなたは私の演技力を向上させた。Theresa、Angharad、Charles、Lauraの夢のチームにいなかったら、私はここにいません。私は友達alla nidärhemmaに感謝します。そして、私の母と父、私が決してこの結果を信じなかったとしても、何かが起こるという信念を私に与えてくれてありがとう。ありがとうございました

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2016年・第88回アカデミー賞・監督賞スピーチ

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プレゼンターはJ.J.エイヴラム
監督は情熱と夢をキャスト、クルーと共有する。時として思いがけない悪夢になる。今夜37作品の中から5本が選ばれたとノミネート者を紹介。

レニー・アブラハムソン(ルーム)/トム・マッカーシー(スポット・ライト)/アレハンドロ・G・イニャリトゥ(レヴェナント:蘇えりし者)/ジョージ・ミラー(マッドマックス 怒りのデス・ロード)/アダム・マッケイ(マネー・ショート 華麗なる大逆転)

受賞者はアレハンドロ・G・イニャリトゥ。
【アレハンドロ・G・イニャリトゥ受賞スピーチ・意訳】
グラシャス、アカデミア。アカデミー協会に感謝します。何が起きたか信じられません。私は、今夜の受賞に驚いています。しかし、私にとってもっとすばらしいのは、大陸を貫く、この映画を可能にした、才能ある、クレイジーな出演者とスタッフとクルーと共に栄光を分かち合えたことです。
みんな、全員に、心から感謝します。レオ、あなたこそ「ザ・レヴェナント(蘇生者)」です。すべての魂、あなたの魂、あなたの芸術、あなたの人生を捧げてくれて感謝します。トム・ハーディー、全てのアメリカ原住民役者達、全ての英国系アメリカ人役者達、あなた達の信頼と才能に感謝します。私はChivoに感謝したいです。この旅に光を当ててくれてありがとう。そして、私はArnon Milchanに感謝します。無条件のサポートをありがとう。私のプロデューサー、Mary Parent、Steve Golin、FOX映画、New Regencyの全員に感謝します。
私、私が今夜ここにいることはとても幸運です。しかし、残念なことに、多くの人は同じ運がありませんでした。映画には、グラスが彼の混血の息子に関して「奴等はお前の声を聞かず、お前の肌の色を見ている」という行があります。そのように、我々の世代にとって大きなチャンスとは、本当にすべての偏見から解放され、この民族主義から解放され、肌の色や、髪の毛の長さが、人と無関係であることを永遠に確認することにあります。これ(オスカー)は私の父のためです。どうもありがとうございました。


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2016年・第88回アカデミー賞・主演男優賞スピーチ

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プレゼンターはジュリアン・ムーア
ノミネート者を紹介。
ブライアン・クランストン(トランボ ハリウッドに最も嫌われた男)/マット・デイモン(オデッセイ)/レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント:蘇えりし者)/マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)/エディ・レッドメイン(リリーのすべて)
受賞者は、レオナルド・ディカプリオ(レヴェナント:蘇えりし者)

関連レビュー:デカプリオの執念
『レヴェナント:蘇えりし者』
実在した開拓時代の伝説ヒュー・グラス
アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督

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2016年・第88回アカデミー賞・主演女優賞スピーチ

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プレゼンターはエディー・レッドメイン
5人の優れたアーティストが素晴らしい演技を見せたと、作品に言及しノミネート者を紹介。
ケイト・ブランシェット(さざなみ)/ブリー・ラーソン(ルーム)/ジェニファー・ローレンス(ジョイ)/シャーロット・ランプリング(フォー・ザ・ボーイズ)/シアーシャ・ローナン(ブルックリン)
受賞者はブリー・ラーソン(ルーム)。
【ブリー・ラーソン受賞スピーチ・意訳】
ありがとうございます。最初に、アカデミー協会に感謝します。私が映画を愛するのは、映画製作のために多くの人々が献身しているからだと、まず最初に述べたいと思います。そんな人達がテルライド映画祭、トロント映画祭から、チャンスを生んでくれ、始めの舞台を作ってくれました。
この映画を獲得し世界に配給したA24に感謝します。レニー・アブラハムソン監督に感謝します。この世界を創り出したEmma Donoghueに。可能な限りあらゆる点で私のパートナーであるJacob Tremblayに。私の現実のパートナー、Alex Greenwald、私はあなたの全てを愛しています。私の両親、私の代理人、マネージャー、クリスフィオト、アンウッドワード、リンジーギャリン、残りのチーム、私の友人、家族に。『Room』に参加した皆さんに、感謝します。それを見た皆さん、どうもありがとう。ファンに感謝します。映画を観てくれてありがとう。劇場に出かけ映画を見てくれて感謝します。ありがとうございます。感謝します。


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2016年・第88回アカデミー賞・名誉賞
ジーナ・ローランズのスピーチ

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【大意】
紹介スピーチをした女優に感謝し、息子ニック・カサベテスに感謝した。
女優の素晴らしいところは、ただの人生を生きていないところで、それは無から物語を作り、生き生きとしたキャラクターを演じる機会を生む作者のおかげだと語る。


更に女優の素晴らしいところは、好きな俳優と競演できるところで、私は大好きなベティー・デイヴィスと競演できて特に幸運だった。ある日ラッシュを見て帰ろうとすると、ベティーがカメラマンとこんな風に(ジェスチャー)揉めていた。自分は逃げようとしたが、ベティーに呼び止められ「私の唇を見た」と尋ねられた。ベティーが言うには「唇が不自然なオレンジ色だからカメラマンを変えたい」という主張だった。私は「そこまで注意を払ってなかった」というと、ベティーは「いつまでもヒヨコじゃないんだから細部に注意を払いなさい」と言われたが、彼女は面白かった。
私の夫、ジョン・カサベテスについては、私の最も壮大な部分を作ってくれて感謝している。
私はオスカーに私を紹介してくれた理事会に感謝したい。背が高く光沢のある金で非常にハンサム。彼は本当にエレガントなので、他と比較できない。私は今夜、彼を家に連れて行く。
オスカーが座る素晴らしい場所は、たぶんピアノの上で、私の家を訪ねた人は、彼を見たり、確認したり、愛したりという、私と同じ機会を得るでしょう。私は理事やみなさんと時間を過ごすことができてうれしいです。ありがとうございました。

貫禄のジーナ・ローランズ。
関連レビュー:ジーナ・ローランズの傑作映画
『グロリア』
ジョン・カサベテス監督の任侠映画
映画『レオン』の原典
しかし、それ以上に凄いベティー・デイビスの逸話
関連レビュー:ベティーデイビスの衝撃映画
『何がジェーンに起こったか?』
ベティー・デイビスとジェーン・クロフォードの確執映画
ハリウッドの伝説の二人を描いたドラマ

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2016年・第88回アカデミー賞・作品賞スピーチ

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プレゼンターはモーガン・フリーマン
今夜は映画を再認識する日で、映画は監督、脚本、などスタッフと役者が作り上げるが、もちろんプロデューサーがアイデアを実現し最後の消えるまで関わるなどとと語り、ノミネート作品を紹介。
ブルックリン/ルーム/スポットライト 世紀のスクープ/ブリッジ・オブ・スパイ/マネー・ショート 華麗なる大逆転/レヴェナント:蘇えりし者/オデッセイ/マッドマックス 怒りのデス・ロード
受賞作は『スポットライト 世紀のスクープ』
プローデューサー、マイケル・シュガー、スティーブン・ゴーリン、ニコール・ロックリン、ブリー・パゴン・ファウストにオスカーが渡される。
【マイケル・シュガー受賞スピーチ・意訳】
ありがとう。みなさんこんにちは。私はあなたを愛しています、ローレン。 やった。ワオ。この映画は生存者に声を与えました。このオスカーはその声を増幅し、バチカンに響く合唱隊になることを願っています。教皇フランシス、それは子供を保護し、信仰を回復する時です。どうもありがとうございました。
【ブリー・パゴン・ファウスト受賞スピーチ・意訳】
私たちのマーケット調査員の勇敢な努力がなければ、今日ここにはいません。彼らはグローバルな変化の影響だけでなく、調査ジャーナリズムの必要性を完璧に示しています。
【ニコール・ロックリン受賞スピーチ・意訳】
我々は我がパートナーに感謝します。Jeff SkollとJonathan King、関係者の皆さん。(以下、名前を上げ感謝)我等が出演者に。完璧な調整を受けたアンサンブルがあるとすれば、あなた達です。大変感謝します。

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2016年・第88回アカデミー賞・各賞結果

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脚本賞

受 賞ジョシュ・シンガー、トム・マッカーシー(スポットライト 世紀のスクープ)
ノミネートマット・シャルマン、イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン(ブリッジ・オブ・スパイ)/アレックス・ガーランド(エクス・マキナ)/ ピート・ドクター、メグ・レフォーヴ、ジョシュ・クーリー、ロニー・デル・カルメン(インサイド・ヘッド)/ジョナサン・ハーマン、アンドレア・バーロフ、S・レイ・サヴィッジ、アラン・ウェンカス(ストレイト・アウタ・コンプトン)

脚色賞

受 賞チャールズ・ランドルフ、アダム・マッケイ(マネー・ショート華麗なる大逆転)
ノミネートニック・ホーンビィ(ブルックリン)/フィリス・ナジー(キャロル)/ドリュー・ゴダード(オデッセイ)/エマ・ドナヒュー(ルーム)

外国語映画賞

受 賞サウルの息子(フランス)
ノミネート彷徨える河(コロンビア)/裸足の季節(チェコスロバキア)/Oxen(The Ox)(スウェーデン)/ディーブ(ヨルダン)/ある戦争(デンマーク)
関連レビュー:ホロコースト映画の新たな地平
『サウルの息子』
アウシュビッツ・ゾンダーコマンドの真実
地獄における人の尊厳
【アカデミー賞:外国語映画賞ネメシュ・ラースロー受賞スピーチ】

プレゼンターはイ・ビョンホンとソフィア・ベルガラ。イ・ビョンホンは作品内容など語り、ノミーネート作品紹介。「ある戦争(デンマーク)」、「大河の抱擁(コロンビア)」、「裸足の季節(フランス)」、「ディーブ(ヨルダン)」
【ネメシュ・ラースロー、スピーチ意訳】
うわー。この素晴らしい名誉を下さったアカデミーに感謝します。私たちをサポートしてくれたSony Pictures Classics、Tom Bernard、Michael Barkerに感謝します。この映画の資金提供をしてくれたハンガリー政府に感謝します。私はこれを、私の主要俳優であるゲザ・レグリグと、信じられないほどのキャストとクルーと共有したいと思います。この計画は誰が欠けても出来なかった。
みなさん、最も暗い人類の時代でさえ、人類の最も暗い時間にあっても、私たちの中に残っている人間性の声があります。それがこの映画の希望です。どうもありがとうございました。感謝します。

撮影賞

受 賞エマニュエル・ルベツキ(レヴェナント:蘇えりし者)
ノミネートエド・ラックマン(キャロル)/ロバート・リチャードソン(ヘイトフル・エイト)/ジョン・シール(マッドマックス 怒りのデス・ロード)/ロジャー・ディーキンス(ボーダーライン)

作曲賞

受 賞エンニオ・モリコーネ(ヘイトフル・エイト)
ノミネートトーマス・ニューマン(ブリッジ・オブ・スパイ)/カーター・バーウェル(キャロル)/ヨハン・ヨハンソン(ボーダーライン)/ジョン・ウィリアムズ(スター・ウォーズ/フォースの覚醒)

歌曲賞

受 賞“Writing's On The Wall”(007 スペクター)
ノミネート“Earned It”(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)/“Manta Ray”(Racing Extinction)/ “Simple Song #3”(グランドフィナーレ) /“Til It Happens To You”(The Hunting Ground)

美術賞

受 賞マッドマックス 怒りのデス・ロード
ノミネートブリッジ・オブ・スパイ/リリーのすべて/オデッセイ/レヴェナント:蘇えりし者

衣装デザイン賞

受 賞マッドマックス 怒りのデス・ロード
ノミネートキャロル/シンデレラ/リリーのすべて/レヴェナント:蘇えりし者

メイクアップ&ヘアスタイリング賞

受 賞マッドマックス 怒りのデス・ロード
ノミネート100歳の華麗なる冒険/レヴェナント:蘇えりし者

視覚効果賞

受 賞エクス・マキナ
ノミネートマッドマックス 怒りのデス・ロード/オデッセイ/レヴェナント:蘇えりし者/スター・ウォーズ/フォースの覚醒

音響賞(編集)

受 賞マッドマックス 怒りのデス・ロード
ノミネートオデッセイ/レヴェナント:蘇えりし者/ボーダーライン/スター・ウォーズ:フォースの覚醒

音響賞(調整)

受 賞マッドマックス 怒りのデス・ロード
ノミネートブリッジ・オブ・スパイ/オデッセイ/レヴェナント:蘇えりし者/スター・ウォーズ/フォースの覚醒

編集賞

受 賞マーガレット・シクセル(マッドマックス 怒りのデス・ロード)
ノミネートハンク・コーウィン(マネー・ショート 華麗なる大逆転)/スティーヴン・ミリオン(レヴェナント:蘇えりし者)/トム・マカードル(スポットライト 世紀のスクープ)/メリアン・ブランドン、メアリー・ジョー・マーキー(スター・ウォーズ/フォースの覚醒)

ドキュメンタリー長編賞

受 賞AMY エイミー
ノミネートカルテル・ランド/ルック・オブ・サイレンス/ニーナ・シモン 〜魂の歌/ウィンター・オン・ファイヤー:ウクライナ、自由への闘い

ドキュメンタリー短編賞

受 賞A Girl in the River: The Price of Forgiveness
ノミネートBody Team 12/Chau, beyond the Lines/Claude Lanzmann: Spectres of the Shoah/Last Day of Freedom

短編実写映画賞

受 賞Stutterer
ノミネートAve Maria/Day One/Alles wird gut/Shok

短編アニメーション賞

受 賞Bear Story
ノミネートPrologue/ボクのスーパーチーム/We Can't Live Without Cosmos/明日の世界

長編アニメ賞

受 賞インサイド・ヘッド
ノミネートアノマリサ/父を探して/映画 ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜/思い出のマーニー

ジーン・ハーショルト友愛賞

受 賞デビー・レイノルズ

名誉賞

受 賞@スパイク・リー
Aジーナ・ローランズ

posted by ヒラヒ・S at 17:18| Comment(4) | TrackBack(0) | アカデミー賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする